[映画.com ニュース] 老舗ブランド「クリスチャン・ディオール」が全面協力した初のドキュメンタリー映画「ディオールと私」が、2015年3月に劇場公開される。1947年のメゾン設立から65年、はじめてアトリエにカメラの潜入が許されたフレデリック・チェン監督が、同作について語った。
ブランド「ラフ・シモンズ」を立ち上げ、その後「ジル・サンダー」のクリエイティブディレクターを務めたラフ・シモンズ氏。12年、ミニマリストとして認識されていたシモンズ氏が、オートトクチュール未経験ながらクリスチャン・ディオールのアーティスティックディレクターデザイナーに就任し、ファッション業界は揺れた。
通常5~6カ月の準備期間が必要とされるなか、シモンズ氏は8週間という異例の短さで初のパリコレクションに臨むことになった。本作は、09年にアカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされた「ヴァレンティノ:ザ・ラスト・エンペラー」、「ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」を手がけたチェン監督が、華やかなコレクションの舞台裏と、シモンズ氏とディオールの魂を吹き込むお針子たちの挑戦と情熱に迫る。
シモンズ氏はカメラ嫌いで知られるが、撮影前の打ち合わせでは「あまりに寡黙な態度に驚いた。もちろん、3カ月もの間撮影スタッフに容赦なく付きまとわれるなんて、誰でも気が進まないだろう。しかし、ラフの心配はもっと深刻なもののようだった」という。チェン監督は、そんなシモンズ氏の印象から「彼が見せたこの繊細さを映画の中心に据えようと考えた」。
「彼はディオールで開く最初のコレクションで、世間がどの程度自分に注目するのかをかなり心配していた。私は、彼がカメラマンにもみくちゃにされる有名人に変貌していくさまをとらえようと撮影を始めた。有名人を襲う、あの容赦のない、まぶしくて目も開けられないほどの、内面まで露呈させるようなカメラのフラッシュ。カメラと言うものは、おそらく人の魂を盗むのだ」
チェン監督は、ディオールの重圧を受けるシモンズ氏を理解するため、創設者のクリスチャン・ディオール氏の回想録を読み込んだ。「2人のクリスチャン・ディオールが存在する。世間の注目を集めるクリスチャン・ディオールと私生活を大切にするクリスチャン・ディオールだ。両者の溝は広くなるばかりで決して交わることはない」というディオール氏の思想を挙げ、シモンズ氏の内面に迫る。




