【インド】マサラ債が海外投資家のルピー建資産への投資を後押しーHSBC投信
Global News Asia / 2016年9月26日 17時14分
2016年9月26日、HSBC投信は、インド経済レポートを伝えた。その中でマサラ債について解説している。
インド準備銀行(中央銀行)は8月25日、銀行が自己資本増強を目的にマサラ債(海外市場で海外投資家向けに発行されるルピー建債券)発行を認可する規制緩和措置を発表した。
マサラ債は2014年11月、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が、ロンドン市場で初の起債を行った。その後、2016年7月にインド住宅金融大手HDFCがインド企業として初めてロンドン市場で200億ルピー(約310億円)規模のマサラ債を発行している。現在、民間企業や公的機関が次々とマサラ債発行計画を打ち出している。
マサラ債は、インド当局による規制緩和や税制変更を受けて、発行体及び投資家の注目を集めている。今回は中央銀行が、民間銀行によるマサラ債発行の規制を緩和した。また、昨年末には財務省がマサラ債の利子収入にかかる源泉徴収税率を20%から5%に引き下げ、投資家需要を集めている。
マサラ債のメリット
マサラ債は発行体、投資家双方にメリットがある。インド企業はマサラ債発行により資金調達先を拡大でき、また資金調達コストを抑えることも可能となる。インド国内の社債利回りは7.5%~9.0%程度だが、マサラ債の利回りは7%を下回る。他方、海外投資家にとっては、制約の少ないオフショア市場でマサラ債に投資し、自国の債券利回り(米国ならせいぜい2%)より高い、5~6%の利回り確保が可能となる。
鍵を握るのはルピー相場の動向
マサラ債では、海外投資家が為替リスクを背負うため、インドルピーの動向が鍵を握る。
ルピーは、2013年9月に市場の信認が厚いラグラム・ラジャン氏が中央銀行総裁に就任して以来、比較的安定した推移を続けている。2016年8月末にウルジット・パテル副総裁が総裁に昇格したが、新総裁はラジャン前総裁の政策を踏襲し、引き続き通貨価値の安定を最優先課題として金融政策運営を行うことが見込まれる。
インド経済のファンダメンタルズが良好なこともルピー相場の下支え要因である。経済成長率は世界最高水準にあり、今年4-6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比+7.1%と中国の+6.7%を上回った。また、経常収支赤字は比較的低水準にとどまっており、さらに海外からの直接投資は順調に拡大している。加えて、モディ政権は強力に経済構造改革を推進しており、今年8月の上院での「物品サービス税(GST)導入のための憲法改正法案」可決は、改革の大きな前進である。これらはいずれもルピー相場にプラスに働くものであろう。
【編集 : KL】
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