幻想的な美しさ、会津の「絵ろうそくまつり」
IGNITE / 2017年1月14日 10時0分
福島県会津地方。山に囲まれたこの土地は、冬になると雪に覆われてしまう。
そんな時期ならではの素敵な行事が「会津絵ろうそくまつり〜ゆきほたる」だ。今年は2月10日と11日の2日間にわたって開催される。
東京から新幹線で郡山へ。そこから磐越西線に乗り換えてやって来たのは、会津若松駅。
白壁の駅舎を出ると、目の前に温かな明かりが出迎えてくれた。
積もった雪の中に陶器で出来たろうそく立てが並び、その中で手作りの絵ろうそくが灯っていたのである。
なんとも優しい色だ。
「絵ろうそくまつり」のメイン会場は鶴ヶ城と御薬園(庭園)。城との共演が見たくて、鶴ヶ城まで足を運んだ。
途中、店先に竹や陶器のろうそく立てを使った可愛らしいオブジェに出会った。
夜になって灯が点されると、街の中にも優しい明かりが広がる。
そして周囲は雪なので、ろうそくの灯を受けて輝き、夜でも十分に明るくなるのだ。
鶴ヶ城は雪で真っ白になっていた。
その周囲がろうそくの灯でやわらかに輝いている。
陶器、竹、そして和紙を使用したろうそく立て。人を導くようにずらりと並び、ゆらゆらと揺らめいている。
雪に浮かぶ灯が優しく感じられるのは、ろうそくだからこそ。
なんという幻想的な世界なのだろう。涙が出そうになった。
会津でのろうそく作りの歴史は500年以上と長い。
漆の木を植えたことからその実を使って蝋を採取し、江戸時代には会津藩の重要な財源となった。
やがて絵を付けた華やかな「絵ろうそく」が作られ、冬の間、花の代わりに仏壇に飾るようになったという。
その一本一本に、花や会津の民芸品である「赤べこ」や「起き上がり小法師」などが手描きで描かれている。
会津の伝統工芸である「絵ろうそく」。
光が雪によって反射し、美しく周囲を照らしてくれる冬ならではの効果。
人々は想いを込め、震災への祈りを込めてひとつひとつの火を点している。
そんなろうそくの優しい明かりが、寒い中でも心を温めてくれた。
今年は是非、天候に恵まれることを祈りたい。
「会津絵ろうそくまつり」サイト http://www.aizu.com/erousoku/
(田原昌)
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