“奇跡”続くNY爆発事件 容疑者スピード拘束で残る“謎”
Japan In-depth / 2016年9月20日 12時4分
井上麻衣子(ジャーナリスト/ビデオグラファー/ストリート・フォトグラファー)
「井上麻衣子のNYエクスプレス」
■初動の早かったNY市警
それは偶然か?奇跡か?とでも言えるような事件だった。先週土曜日、ニューヨーク、マンハッタンで起きた爆発事件。爆発現場近くに住む知人は、現場前を通り、自宅に戻った瞬間に爆発音を聞いた。一晩中漂う火薬のような匂いに、いつまた付近で爆発が起こるかという不安でなかなか寝付けなかったという。
多くのニューヨーカーたちを震撼させたこの事件。しかし、土曜の夜、もっとも賑わう繁華街に仕掛けられた爆発物だったにも関わらず、幸いにも死者は出ず、すぐに2つ目の爆発装置も爆発前に処理班によって発見され、処理された。パトロール中の警察官自身が爆発を目撃、すぐに駆けつけたという報道に、“ニューヨークは守られている”という安心感を抱いたという人も多かった。しかし警察のお手柄はそれだけはなかった。
■防犯カメラと指紋で迅速に容疑者特定
翌日には、警察は容疑者が特定していたのだ。ニューヨークタイムズ紙によると、捜査当局は、現場付近の防犯カメラ映像からラハミ容疑者が2つの爆発物(圧力鍋を使った簡易爆発装置)を仕掛けたと特定。また、2つ目の装置からはラハミ容疑者の指紋も見つかったという。
一方、ニュージャージー州にあるラハミ容疑者の自宅付近にある駅では、簡易爆発物5つの入ったリュックサックを通行人が発見。こちらも無事、爆発前に処理班が処理している。警察は容疑者の自宅を捜索するも容疑者は見つからず、月曜朝、当局は指名手配犯として容疑者の顔写真を公開した。
しかし、ここでも奇跡が起きる。隣り町にある飲食店の入り口で、ホームレスが寝ていると通行人から通報が入ったのだ。駆けつけた警察官が寝ている男を起こそうとする。どうも指名手配中の容疑者に似ているようだ…と思った瞬間、男はいきなり銃を取り出し、警察官の腹部を撃つ。しかし警察官は防弾チョッキを着用しており、けがを免れる。男は逃走を試みたものの、警察との銃撃戦の末、拘束された。男は警察官の直感通り、ニューヨーク爆破事件を起こしたアフマド・ラハミ容疑者だった。
■生きて拘束された28歳アフガニスタン出身容疑者
担架に乗せられ救急車内に担ぎ込まれる男の姿は、米ABCテレビが独占映像で報道した。アフガニスタン出身のアメリカ市民アフマド・ラハミ容疑者28歳。 濃いヒゲを蓄えた男は、警察との銃撃戦の際、肩を撃たれたと見られ、血も流れている。少しだけ不安そうな、しかし穏やかな表情、大きなケガをしているようには見えない。
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