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【悲報】周回遅れの「漫画・アニメ論争」が後を絶たない理由

TABLO / 2015年1月31日 20時0分

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 児童ポルノ法の改正問題を経て、少しは "児童ポルノ" という単語自体を疑問視してくれる方が増えたのではないかと淡い期待を持っていたのだが、2015年となった今も相変わらずトホホな周回遅れのオタク叩き、アニメ叩き、マンガ叩き、ロリコン叩きが収まる気配がない。

 そうした「何年前の議論なんだよ」と言いたくなる声はあちこちに散乱しているので、具体的に誰のこの記事と指摘することは省くが、よくある児ポ批判の間違いをまとめつつ反論しておく。

(1)アニメやマンガなどの児童ポルノが!

 アニメやマンガといったいわゆる二次元作品は児童ポルノに含まれていない。児童ポルノとは今や犯罪行為を示す単語となっているので、違法性のない物に対してさも違法=犯罪行為かのように触れ回る愚行は、容易く名誉毀損が成立する。言ってみればそちらの方がより犯罪性が高いと自覚すべきである。アニメやマンガを指して児童ポルノと呼んでいる記事があったら、その記者は不勉強にも程があるので、そこから先の文章は読まなくてよろしい。

(2)海外ではこう言われている!

 自国の文化や価値観を守り、またそれを諸外国に理解して貰うよう粘り強く説明し続ける事は、やって当たり前の努力である。また、日本をひとりの人間と見立てて考えて欲しいのだが、日本の価値観・思想・宗教観などは「内心の自由」であると言え、他人(欧米諸国) につべこべ言われる筋合いはない。対象が個人であれば単に人権侵害であるし、内政不干渉の原則にも反している。海外の価値観に合わないコンテンツを無理やり輸出しているのであれば批判されて当然だが、日本国内だけで流通している物については、日本人が自らの倫理観などを元に取り締まるか否か判断すべきものだ。日本人の価値観や感性を否定するために国際法をねじ曲げて解釈するような動きすらあるが、それなど「その行為自体を国際法に基づいて抗議すべき」であろう。例えばイスラムテロに代表される宗教問題(宗教戦争)は、価値観の相違による「自分達に理解できないから気持ち悪い」という差別的な感情が要因のひとつになっているといい加減に学んではどうか。

(3)児ポ・表現規制反対派はアニメ・マンガ好き=オタク=ロリコン

 これなど根拠も何もない差別感情むき出しのレッテル貼りである。児童ポルノ法の問題点を指摘し、表現規制に反対する人々のすべてがアニメ・マンガのマニアという訳ではない。個人の嗜好をさておいても内容に問題が多すぎたから、様々な立場の人間から批判や非難が集まったという現実を受け入れて欲しい。またそうした切り口を捨てて考えたとしても、日本のアニメやマンガの歴史がこれだけ長く、また立派に経済活動と呼べるほど大きなお金を動かしている以上、他の業種・業態と同様に守られて当然だ。一部の人間の嫌悪感を理由に税収にも繋がる産業を潰そうとは、正気の沙汰とは思えない。

(4)ロリコンだけが児童ポルノ法に反対している!

 3と内容が被るが、児ポ問題が取り沙汰されて以降、最も便利に使われ続けた、そして最も卑劣なレッテル貼りがコレである。自分達と価値観の異なる人間を「○○だ」とレッテル貼りをし、それだけを根拠に自分の正しさを主張するなぞ、それが差別や迫害でなくて何だというのか。アニメやマンガを批判するなと言っているのではない。批判したいのであれば具体的な数字・統計・証拠といった議論に値する何かを提示せよ。「ボクが嫌いだから、ボクが疑っているから」が根拠として通用するというなら、日本人は未だに魔女狩りの時代にある劣等民族だと喧伝しているようなものだろう。日本をバカにするのもいい加減にしていただきたい。また児童ポルノ法に反対している人々の中には「むしろ子供を性被害から守れなくなるから内容も名称も変えるべきだ」という声がある事もお忘れなく。児童ポルノという言葉が指す範囲を広げすぎると、あちこちで萎縮が起き、子供の被害状況や現実に何が起きているかといった把握すら困難になる。またポルノという単語の意味が強烈すぎ、近親者による性虐待といった「子供に振りかかるおそらく最も抗い辛い危険」に対するめくらましにもなってしまう。こうした問題点を指摘している人間は、果たしてロリコンなのだろうか。現に母親のヌード撮影のモデルをやらされていた女性が、自身の経験から告発・問題提起した映画が、日本では業界の萎縮によって上映不可になりかけたという事実を忘れないで欲しい。

(5)マンガやアニメの影響で性犯罪が!

 これも4の補足的な内容になるが、現時点でアニメやマンガが性犯罪の発生件数にどのような影響を及ぼしているか定かではない。 この "影響" という単語には2つの捉え方がある点を考慮して欲しい。 表現規制したい人々は 「二次元コンテンツのせいで性犯罪が増加した」 と主張したいようだが、逆に 「二次元コンテンツで解消できるからこそ、日本は諸外国に比べて性犯罪の発生件数が少ない」 という意見も同価値の物としてある。 しかも両者を比較すると、より具体的な数字による補足ができているのは後者の方だ。 日本よりも表現規制の厳しい国(仮にアメリカとしよう) で、子供が犠牲になる事件は年間で何件起きているか。 それに対して日本で同じような事件が何件起きているか。 それを照らし合わせた結果 「日本の方がまだ安全」 と判断できる数字が出たのだが、規制派は何故かこうした数字を積極的に表に出そうとしない。 いわゆる確証バイアスに陥って情報探しをしているため、自分達の思想にとって不利になる情報を遮断してしまっているのだろう。 ただ、こうした犯罪発生件数と二次元コンテンツの関係性は未だにハッキリとはしていないので、どういう立場にあるとしても 「なるべくそれを根拠にはしない」 というのが理性的ではないかと思われる。 しかし、もし規制派が性犯罪との関係性を根拠にしてくるのであれば、海外の犯罪件数の統計と、その国の表現規制がどれだけ厳しいかという、容易に入手できる情報を突きつけてやれば良い。

(6)ロリコン男の性嗜好に比べて女性の性は抑圧されている!

 これを唱えているのは一部のナニがアレな人々だけではあるが、一応ツッコミを入れておく。 そもそも論として、175条のわいせつ物の基準の中に 「男女差」 など考慮されていない。 女性器も男性器も、日本では等しくわいせつとされ、モザイクの向こう側に追いやられている。 また、規制や迫害を受け続けてきた歴史の長さや件数で判断するなら、より酷い目に遭っているのは 「男性の性」 である。 これについては男性と女性の性欲の解消方法の違いや、それに起因するビジネス展開の容易さなども考慮した上で、理性的に話をしていただきたいと願うばかりだ。

 以上、これまで東京BNに寄稿してきた記事を読んでいただいた方々には今さら感の強い内容だったとは思うが、こうした周回遅れの意見が今でも発せられ続けているという哀しい現実は知っておいて欲しい。

 我々はこの先何回こうした同じ事を言い続けねばならないのだろうか......。

Written by 荒井禎雄

Photo by Xubaet

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