<高畑裕太事件>示談金額の公開こそが潔白の証明
メディアゴン / 2016年9月10日 7時30分
矩子幸平[ライター]
* * *
強姦致傷の容疑で逮捕された俳優の高畑裕太氏が、9月9日、不起訴となり釈放された。
不起訴・釈放後に高畑氏の弁護士が報道陣に送ったあまりにトリッキーな論旨のFAXに驚いた人は多いはずだ。弁護士のFAXでは次のような主張がなされている。
「高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く、少なくとも逮捕時報道にあるような電話で『部屋に歯ブラシを持ってきて』と呼びつけていきなり引きずり込んだなどという事実はなかった(中略)違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をした」
ようは、
・合意があった(と思っている)
・顕著な悪質性はなかった
・裁判になれば無罪を主張できる
という3点から逮捕容疑を否認していることを報道陣に伝え、そこから「悪質(強姦致傷)ではないから、釈放された」と印象づけようとする作戦が垣間見える。
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しかしながら、「裁判になれば無罪を主張」という強気の姿勢と、「合意の上だった」という立ち位置から、「不起訴(無罪)になった」へとつなげるロジックは、ちょっと考えてみればおかしいことは誰でわかる。
まるで「無罪が主張できる合意のセックスだった(意思疎通が十分でなかっただけ)」ということが認められ、それがゆえに不起訴になり、釈放されたかのようにさえ読めるが、もちろん、そんなことはないはずだ。不起訴になる過程で、被害者との示談条件などもを含め、複雑で巧妙、示談金も絡む「契約」があったであろうことは誰の目にも明らかで、「冤罪だったんで釈放!」という単純でものではない。
そもそも高畑氏は、逮捕当初より「女性を見て欲求を抑え切れなかった」と供述している。逮捕当初の自供状況などから見ても、最初は合意の上で始まった「和姦」が、女性が意識変化が起したことで、期せずして「強姦」に思われてしまった・・・という理論に納得できる人は多くはあるまい。
合意の上での性行為に及んだ人物が、果たして「女性を見て欲求を抑え切れなかった」と言うだろうか。通常、「女性を見て欲求を抑え切れなかった」に続く言葉は、「〜から、合意の上で愛しあった」ではない。「〜から、襲ってしまった」となるのが通常の日本語感覚だ。
既に示談が成立している以上、高畑氏側から出るいかなるコメントも、被害者側とは確認済みであろうから、表に出てくる情報への被害者側からの反論や異論などは出ないだろう。よほどのことがない限り、契約・示談の範囲内で高畑氏側からの一方的な主張が可能となる。
今後もメディアによる追求は続くであろうが、今回の「強気の示談」を覆すことは困難だ。高畑氏が社会的・芸能界的にどう判断されるかはさておき、現在報じられている以上の当事者情報は、高畑氏が有利になるような情報以外、出てくることはないように思う。
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「地獄の沙汰も金次第」か、それとも「地獄の沙汰も弁護士次第」なのか。いずれにせよ、芸能人などではない普通の容疑者、一般的な家庭の容疑者であれば、このような示談や不起訴などはありえたのであろうか、という疑問を持った人は多いのではないか。
こういったケースの事件は、日本でも少なからず発生しているであろうから、その場合の起訴・不起訴の割合や平均的な処罰について、マスコミはぜひ、調査し、公にしてほしいと思う。
現在、母親で女優の高畑淳子さんが「示談金をいくら払ったか」が、大きな注目を集めている。中には「いくら払えば強姦は不起訴になるのか」といった指摘さえ散見される。
そういった現実を考えれば、もし高畑裕太氏(とその弁護士)が自身の潔癖を主張し、仮に裁判になっていたとしても無罪を勝ち取る自信を持っているのなら、ほとぼりが冷めた頃に芸能界に復帰する意欲があるのなら、示談金の金額を公にすべきではなかろうか。
強姦だったのか、それとも和姦であったのか、不起訴となった今、それは「藪の中」だ。しかし、示談金の金額こそが、その「真実」を物語ってくれるはずだ。
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