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<弱体化する地方局>なぜメディアは権力のチェック機関になれないのか?

メディアゴン / 2016年10月27日 7時30分

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

(ご指摘があり括弧内を加筆しています)

富山市議会の政務活動費不正で、これまで市議会議員10人が辞職した。政務活動費不正では金沢市議会議長の不正も明らかになっている。(これはJNN系列のチューリップテレビが成し遂げた調査報道の見本のような成果であった)他にも他にも・・・。みな恥ずかしくなるようなセコい手法の不正である。

こういうニュースを聞くと、悲しいことではあるが、筆者を含めて多くの人は全国の地方自治体でも不正が行われているのではないかと思う。

これは(全国でも)情報公開請求を行って、政務活動費をすべて点検すべきである、と誰もが思うだろう。しかしそれはなかなか行われない。

例えば、情報公開請求の主体としては、

・共同、時事の通信社
・NHKの各都道府県支局
・朝日、読売、毎日、日経などの全国紙の支局
・各都道府県をエリアにして発行している地方新聞
・NNN(日本テレビ系)、ANN(テレビ朝日系)、JNN(TBS系)、FNN(フジテレビ系)の各ローカル局

などが考えられる。これらいわゆるメディアは、権力や官僚のチェック機関であることが求められているからだ。しかし、それらが始まったとは聞かない。

 「昨年度全国の主要な地方議会で支給された政務活動費について調べたところ、富山市議会が支給額の全額を使い切っていたほか、10の議会が支給額の95%以上を使っていたことが分かりました」

と、NHKが報じていたが、(上記の)調査を行ったのは、メディアではなく市民オンブズマンである。

特に、NNN(日本テレビ系)、ANN(テレビ朝日系)、JNN(TBS系)、FNN(フジテレビ系)の各ローカル局は、今おそらくこの情報公開を行い精査する費用も人員も絶対的に不足している状態だ。

【参考】メディアが「報道」ではなく「広報」になった国は必ず衰退する[茂木健一郎]

今は確認のしようもないが(昔は「民間放送全職員人名簿」というのがあって、すべて確認できたが、今は、プライバシーの観点からか出版されていない。これを出版していたのは、われわれは堂々と名を名乗って権力のチェックをするのだ、という覚悟のあらわれだったのだろう)ローカル局で報道に2桁の人員を割いている局は少ないだろう。

これでは「情報公開を行い精査する」作業にはとても手が回らない。地方の悪行はチェックされることなくはびこってしまう。これは最悪の事態だ。

このままで良いはずがない。キー局の劣勢もあって経営基盤が弱くなっているっているローカル局は合併するべきだ、と言う説がある。あの業界もこの業界も合併して経営の安定をめざしているのにテレビ局だけが安泰と言うのはおかしなことでもある。

この合併の方法に関しては、各地方の基幹局、仙台なら仙台の局が東北6県のローカル局を吸収合併するという案が有力だとされている。しかし、私はこの案には反対である。なぜか。

筆者は山形県生まれだが、東北6県は皆違う。青森は青森、岩手は岩手、秋田も山形も福島も皆違うのである。同じにしたら、各県の文化が衰退する。愛媛も徳島も高知も愛媛も皆違う。

合併は県内で行うべきである。各道府県内のローカル局がひとつになるのである。

大体、山形県の場合では言えばローカル局が4つもある必要はないのである。昔はNHKと民放ひとつしかなかったのであるが、筆者にすればそれで充分だった。

東京の番組が見たければ、いま各キー局は衛星から電波を降らせることができるからそれを見れば良い。合併して誕生した各県にひとつの放送局は地元の情報報道に専念すれば良い。

地方で大きな事件が発生したら、地方局は取材を丹念に行って、高い金でキー局に売って商売をすれば良い。中継などやるときはキー局による入札制にして最も高い値を付けた局に電波を送れば良い。

NHKと、ひとつになった地方局と、通信社と、余裕はないだろうが地方紙が競争して取材をすれば、質は落ちないはずである。

これは妄想だろうか?

筆者には「そんなのは実現しない」と言って出来ない理由を山ほど考えている偉い人の姿が思い浮かぶ。とにかく、「やれない人/やらない人」は、出来ない理由を考える天才だ。

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