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世界で6億人の雇用が足りない!

ニューズウィーク日本版 / 2014年9月10日 15時17分

 世界の雇用の拡大が現状のまま推移すれば、グローバルな雇用危機に直面する――。世界銀行とILO(国際労働機関)、OECD(経済開発協力機構)の共同報告書が、そんな警告を発した。

 人口増大に対応するには、世界中で2030年までにさらに6億人の雇用が必要だという。その上、質の高い雇用を得る機会は十分にはない。

 世界銀行のナイジェル・トゥーズ雇用担当部長は、「世界的な雇用危機が存在することは、ほぼ間違いない」と話している。「この報告書が明らかにしているように、雇用、なかでも質の高い雇用が不足している」

 今月10〜11日にオーストラリアのメルボルンで開催されるG20雇用労働大臣会合に先立って発表された報告書は、さらにG20諸国で創出される雇用の数と質の「大規模で継続的な不足」が、各国の経済成長に影を落としていると述べている。

 それによると、多くのG20諸国で(最近になって多少の改善は見られるものの)、金融危機からの景気回復が進まないのは、大規模な雇用のミスマッチを抱えているためで、経済成長のはずみが付かなければ、少なくとも2018年までこの状態が続くという。

 雇用の不足がまた、景気回復を妨げている面もある。消費と投資の両方を抑制してしまうからだ。G20諸国全体では約1億人が失業中で、また新興国では4億4700万人が1日あたり2ドル以下で生活する「ワーキング・プア」の状態にある。

「雇用は景気回復の基盤となる」と、報告書は述べている。「G20諸国は、経済成長と健全な社会を維持するため、その基盤としてさらに多くの質の高い雇用を必要としている」

 多くの新興国では、絶対的な貧困を減少させることには多大な成果をあげている。また収入格差の是正が進んでいる新興国もある。しかし非正規雇用の多さが、特に新興国や途上国で雇用の質の改善の大きな妨げとなっている。



 持続的で公正、包括的な経済成長を成し遂げるには、生産性や給与水準を改善し、雇用機会や雇用実績を向上させるすべての関連分野の政策が必要となる、と報告書は指摘する。特に金融危機の影響を受けやすい弱者への配慮が必要とされる。

 一つの成功例はイギリスかかもしれない。

「イギリスは今、過去最悪の景気低迷から脱却しつつあり、昨年の雇用の伸びはG7諸国で最も高い」と、イギリス労働年金省の広報官は言う。「(景気回復の)正しい対処法は、企業の雇用創出を後押しする一方で、求職者のスキルアップを支援することだ。経済成長を維持すれば、失業率は下がり、イギリスの競争力は持続する」

イアン・シルベラ

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