ハーバードが絶賛する「日本」を私たちはまだ知らない
ニューズウィーク日本版 / 2016年5月25日 16時7分
<新幹線清掃から福島第二原発まで、事例が豊富な『ハーバードでいちばん人気の国・日本』。世界が高く評価する日本のポテンシャル、そして、これからの日本の3つの課題とは?>
『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(佐藤智恵著、PHP新書)が焦点を当てているのは、ハーバード大学において日本のポテンシャルが大きく評価されているという事実である。それは、この国に対する悲観的な論調に慣れてしまっている私たちにとって、非常にインパクトのあるトピックだといえよう。
本書の「はじめに」の部分で、まず登場するのは、JR東日本が運行する新幹線(東北・上越・北陸・山形・秋田)の清掃業務を請け負う「JR東日本テクノハートTESSEI」(以下テッセイ)の話題だ。次いで第1章でも詳細に解説される同社の取り組みは、マスメディアでも頻繁に取り上げられているのでご存知の方も多いだろう。
新幹線が東京駅に到着してから、乗り降りの時間を引いたわずか7分間で清掃を終えるという事実はそれだけで衝撃的であるだけに、「新幹線お掃除劇場」として注目された。実は私自身、そのシステムを構築したテッセイの矢部輝夫さんには何度も取材させていただいた経験があり、ハーバードの教材になるという話もお聞きしていた。そんなこともあり、ここでその取り組みに焦点が当てられていることには十分納得できる。そこには、本当の意味での"日本人らしさ"が反映されているからだ。
【参考記事】こんまりの「片づけ本」がアメリカでバカ売れした理由
階級社会が色濃く残る欧米で、清掃の仕事にやる気満々で取り組んでいる人はほとんどいないといってもいいだろう。(中略)ところがテッセイの従業員は皆、情熱をもって仕事をしている。それはお金のためというよりは、「人のために役立っているのが楽しい」と感じているからである。3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれ、一般的には敬遠されるような職場で、やりがいをもって仕事をしている。それこそがまさに「奇跡」なのだ。(58~59ページより)
もしかしたら、この文章を読んだだけではそのリアリティを実感できないかもしれない。「一般的には敬遠されるような職場で、やりがいをもって仕事をしている」というフレーズを使えば、なんとなく話がまとまってしまうのも事実だからだ。ところが、これは単なる美辞麗句ではない。新幹線清掃の現場にいる「おばちゃん」たちは、本当にとてつもないことをやってのけているのである。この話題は終章にも登場しているので、そこからも引用してみよう。
この記事に関連するニュース
-
ジェトロ、米ハーバード大学のイノベーション施設と学生起業家向けイベント実施(米国、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月22日 0時35分
-
amazonの小学教科書・参考書カテゴリでベストセラー1位を獲得!『宿題が30分で書ける!秘密のハーバード作文』で、受験・就活・ビジネスでも一生使える「ライティング力」を育てよう。
PR TIMES / 2024年4月14日 23時40分
-
ダメ社長ほど「パーパスおじさん」になっている…ハーバードの研究で判明した「ダメなパーパス経営」の条件
プレジデントオンライン / 2024年4月2日 14時15分
-
ユーチューバーになるにも「文章を書く力」が必要…ハーバード大が150年以上も「作文教育」を続けている理由
プレジデントオンライン / 2024年4月2日 7時15分
-
「歴代首相に盆暮れに1000万円ずつ献金」「地域振興で潤うのは一世代だけ」原発にまつわる話
ニューズウィーク日本版 / 2024年3月28日 12時45分
ランキング
-
1ハマス要員5000人残存か=ガザ休戦で勢力回復可能―トンネル活用、抵抗長期化も・米紙
時事通信 / 2024年4月23日 23時39分
-
2台湾で再び地震 マグニチュード6超が2回発生 ホテルやビルが傾く
日テレNEWS NNN / 2024年4月23日 19時37分
-
3ドイツ、中国スパイ容疑で男拘束 欧州議会議員スタッフ、情報流出疑い
産経ニュース / 2024年4月23日 21時47分
-
4ミャンマー国境で激しい戦闘続く 民間人10人死亡 タイ側の民家に流れ弾直撃も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月23日 22時41分
-
5プーチン氏が停戦交渉拒めば、トランプ氏はウクライナ支援強化も 元米国務省特別代表ネグリア氏
産経ニュース / 2024年4月23日 17時43分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください