独身1000人調査! 薄給でも結婚したい人の条件
プレジデントオンライン / 2014年11月26日 8時45分
「高年収ほど結婚に有利」はすでに過去のこと。男女ともに求める条件は激変。20代、30代の本音とは?
■「女は若さと美貌、男は最低300万」露骨な結果が出た
女性は若くて美しければ低収入でも結婚できる。男性は300万円以上の稼ぎは必須で、500万円以上あれば有利。ただし、若々しい外見と誠実さ、そして安定性がなければ難しい――。
20代・30代の独身男女にアンケートを取ると、露骨な結果が出た。自由回答欄を見ても、「年収を理由に振られた」(年収300万円未満)、「年収が低いため、養っていく自信がない」(同300万~500万円未満)など、年収500万円未満の男性からは濃厚なあきらめムードが伝わってくる。
低年収でもエリート美女と結婚する方法などを紹介するつもりはない。仕事熱心で向上心があるプレジデント誌読者の男性には不要な情報だからだ。知りたいのは、年収500万円は確保したうえでモテる、もとい理想の女性と結婚する道筋である。年収1000万円になったら人気が沸騰するのだろうか?
キレイごと抜きの実情と対策を知りたい。結婚情報サービスを展開する会社はたくさんあるが、会員数ではなく、「成婚率」で群を抜く2社を取材した。
「入会希望者のうち7%の方は入会をお断りしています。たとえば、40歳で年収200万円のアルバイトの男性ではマッチングがきわめて難しい。相手のご紹介ができないのに入会金などの対価をいただくことはできません」
率直に明かしてくれるのは、会員数9000人で成婚率20%を誇るパートナーエージェントの伊東祐輔取締役だ。年間30万円ほどの費用がかかる同社のサービスを利用するのは、男性は平均39歳で年収650万円、女性は36歳で年収410万円。単純に組み合わせると、世帯年収1000万円超のアラフォー夫婦が誕生する。
「男性は35歳前後で年収が高めな方に(お見合いの)紹介が出やすいのは確かです。ただし、紹介が出やすい方と成婚しやすい方は違います。身長や学歴、年収といった条件は成婚とは関係ないというのが結論です」
伊東氏は、「外的条件と内的条件」という言葉で説明する。実際に会ってみるか否かは容姿を含めた外的条件で決めるが、それから先は性格や趣味、価値観といった内的条件がより重要になる。
「年収1000万円だからといって生理的に合わない人と結婚しようとは思わないでしょう。内的条件を掘り下げるには、『あなたが求めている優しさとは具体的にはどのような優しさなのか』と面談で引き出していきます」
価値観が合う人と結ばれる、と言ってしまえばそれまでだ。実際はどんな人が成婚しやすいのか。
「コンシェルジュ(現場のお見合いスタッフ)たちに聞いたところ、婚活を前向きに頑張る人という答えを得ました。結婚とはある意味では確率論なのです。毎週のようにお見合いして振られてしまう経験を乗り越えないといけません。1年間で18人と会って結婚するのが平均像です」
伊東氏によれば、何人もの異性と出会っていくうちに頭の中にあった「外的条件」が変化していく。自分はどういう人が好きかが少しずつ明確になっていき、最初とは異なる外的条件の人と成婚することが多いという。
■稼がない女性に「1000万円以上」を求める傾向
年収の話に戻ろう。やはり男性は容姿や性格が同じようであれば年収が高ければ高いほど結婚しやすいのか。次に登場するのは、男性会員を4年制大学卒業以上に限った「クラブオーツー」や医師および歯科医師に限定した「フェリーチェ」といった結婚情報サービスを展開するプライムマリッジ。全員の平均年収はパートナーエージェントを100万円以上も上回る。会員数は5000人を超え、年間1700人が入会する。退会する人の3割は成婚が理由という。
話を聞く前に言いたいことがある。年収と結婚の関係を調べている筆者も下品だが、学歴や職業で会員を絞り込むなんて嫌みすぎるのではないか……。
「マンパワーの問題です。いまの私たちには大手のようにすべての方にサービスを提供する力がありません。地域も首都圏と関西圏に限っています。ハイステータスな方との出会いを期待して来られる女性もいますが、年収だけでは決してご紹介しません」
落ち着いた様子でそつのない回答をしてくれるのは現場トップの宍戸真弓氏。10年以上にわたって、多くの成婚者を見届けてきた。宍戸氏によれば、大切なのは一にも二にも「バランス」とのこと。
「普通の会社員では年収3000万円はありませんよね。弁護士や自営業の方がほとんどです。そんなに年収が高くなくてもいいので、堅実な会社員と結婚したいという女性は多くいらっしゃいます」
クラブオーツーでは女性会員も8割が4年制大学の卒業生。セレブ妻ではなく、共働きでしっかりとした家庭を築きたいと希望する人が多いのだ。
「自分が稼いでいない20代の女性に限って、相手に1000万以上を求める。キャリアを積んでいる女性はもっと現実的ですよ」
宍戸氏よりもぶっちゃけ口調で語ってくれるのはプライムマリッジ取締役の浅井信行氏だ。一方の男性は、「安定した仕事についていて自信のある男性はコンプレックスがない」(浅井氏)ためか、女性の年収が自分より上でも下でも気にしない会員が多いという。
この傾向は若い世代の男性に特に強い。大学でも職場でも優秀な女性たちと肩を並べて切磋琢磨してきたため、自分と近いキャリア意識を持って働ける女性を自然と求めているのだろう。
■「外見じゃない」はモテない男の幻想にすぎない
浅井氏は今回のアンケート結果に疑問を呈する。たとえば、男女ともに「年収200万円で東大卒」より「年収2000万円で高校卒」を選ぶという点だ。
「200万円という数字が極端なのかもしれませんが、最近の大卒者にとって高卒者はほぼ対象外のはず。逆に、高卒者は高卒者を選びやすいと思います」
さらに浅井氏は年収と容姿に関するアンケート結果にも切り込む。女性の4割が「年収200万で美男」より「年収2000万円で醜男」を選んでいるのは、頭で考えているだけというのだ。
「女性も経済的に自立している時代ですからね。生まれる子どもの雰囲気を想像しているのか、若々しい男性を選ぶ女性が大半です」
プライムマリッジでは、定期的にさまざまなイベントを開催している。参加した異性の写真とプロフィールを個室で閲覧して、お見合い希望を出すこともできるのだ。男性は好みの女性タイプにバラつきがあるのに対して、女性の人気はいわゆるイケメンに集中するという。「男は見た目じゃない」なんて思っているのはあまりモテない男性だけ。せつない事実である。
アンケート結果と「成婚のプロ」たちの話を振り返ると、昔ながらの言葉が思い浮かぶ。「お似合い夫婦」だ。年収や学歴、容姿、成育環境、そして生活観を含めた価値観。すべてが自分と同じ異性は存在しない。しかし、誰が見てもぴったりで微笑ましいカップルはいる。理想の相手を夢想する暇があったら、現実に目の前にいる人たちと出会いながら、自分との釣り合いを見つめるべきなのだ。
(フリーライター 大宮 冬洋)
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