【金正男氏殺害】事件対応に苦慮するマレーシア政府 北朝鮮と歴史的なつながり

産経ニュース / 2017年2月16日 21時14分

16日、金正男氏殺害事件で逮捕されたベトナム旅券を持つ容疑者の女が拘置されているとされる、マレーシア首都近郊のセパン警察署(吉村英輝撮影)(産経新聞)

 【クアラルンプール=吉村英輝、ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正男氏の殺害事件で、遺体の扱いをめぐりマレーシアと北朝鮮の間で摩擦が生じている。北朝鮮側は遺体を即時返還するよう要求。一方、マレーシア警察は、さらなる捜査の必要性などからこの要求を退けている。

 マレーシアのザヒド副首相は16日、北朝鮮側からの遺体返還要求について記者団に問われ、「海外政府の要請には応える」と引き渡しに応じる姿勢を示したのち、「ただし手続きを経てからだ」とクギを刺した。

 警察の遺体解剖は15日夜に終了。ただ、死因の特定には至っていないという。空港で海外要人が暗殺されるという“失態”を犯したマレーシア政府としては、法や科学に基づいた徹底捜査を内外に示す必要がある。

 一方、地元メディアによると、北朝鮮側は当初から、解剖は「必要ない」と強く抵抗。解剖には駐マレーシア北朝鮮大使も長時間立ち会うなど、緊張が続いた。

 ザヒド氏は、正男氏が2冊の北朝鮮旅券を所持していたとし、入国目的は「分からない」とした。ただ、入管法で、北朝鮮国籍者のマレーシア入国は「拒否できない」とも述べた。

 北朝鮮にとってマレーシアは数少ない友好国の一つだ。2009年からはビザなしでの相互訪問が認められている。また、13年にはマレーシアの大学から金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に名誉学位が授与されたこともある。

 自由に行き来できる利点から、日本をはじめ外国高官と北朝鮮高官との非公開接触も度々行われてきた。北朝鮮の工作機関は、マレーシアを海外拠点のひとつとしている。

 今回の事件で両国関係の悪化も予想され、マレーシア政府は当面、対応に苦慮しそうだ。

産経ニュース

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