特集2016年12月4日更新

今年は例年より早い流行…インフルエンザの予防法特集

厚生労働省は11月25日、インフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表しました。これは例年より数週間早く、2009年を除いて最も早い流行入りなんだそうです。インフルエンザは普段からのちょっとした行動で予防出来ます。その方法についてまとめました。

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はしかの危険性とは(イラスト/いかわやすとし)

欧州や中央アジアで大流行、日本でも感染拡大の「はしか」 治療薬はなくワクチンも不足 感染したら生涯免疫を獲得、まれに2回かかる人も

NEWSポストセブン / 2024年4月17日 11時15分

【週刊ポスト連載・医心伝身】欧州や中央アジアで、麻疹(はしか)が大流行、WHOの報告では2023年の45倍の感染が確認された。3月までの日本人感染者11人のうち、8人が国際線の機内で感染し、国内でも拡大中だ。 [全文を読む]

今年の動向

例年よりも早めの流行

平成28年第46週(11月14日~11月20日)の感染症発生動向調査で、インフルエンザの定点当たり報告数が1.38(定点数/全国に約5,000ヶ所、報告数/6,843)となりました。流行開始の目安としている1.00を上回ったことから、今年もインフルエンザが流行シーズンに入ったと考えられます。
■例年より早めの流行シーズン入り
第46週での流行シーズン入りは、例年よりも早い時期の流行入りです。
【参考】(2015/2016 シーズン:2016 年第1週 2014/2015 シーズン:2014 年第 48 週
2013/2014 シーズン:2013 年第 51 週 2012/2013 シーズン:2012 年第 50 週)

理由は「急に寒くなったから」か?

「人にはインフルエンザウイルスを排除しようとする 免疫力 があります。ところが秋に天候不順が続いたことで、多くの人の 免疫力 が今、下がっている状態なのです。このままインフルエンザの季節を迎えたら、大流行さえ危惧されます」
こう語るのは、免疫学を研究する順天堂大学大学院医学研究科の竹田和由准教授。「秋なんてあったかしら?」と思うくらい、唐突に肌寒くなったこのごろ  こんな年こそインフルエンザには要注意なんだそう。

厚労省が11月9日にインフル専用サイトを開設

11月9日に、専用サイト「今冬のインフルエンザ総合対策」を開設し、インフルエンザに関する情報を掲載している。毎週、原則として金曜日にインフルエンザの発生動向情報、インフルエンザ様疾患発生報告情報などを逐次掲載し、更新していく。

インフルエンザの豆知識&予防法

インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気。38度以上の発熱や頭痛、関節痛、筋肉痛など、全身の症状が突然現れ、普通の風邪と同じような喉の痛み、鼻汁、咳などの症状も見られる。インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、大きくA型、B型、C型の3つに分類にされ、このうちA型とB型が大きな流行の原因となる。
感染すると、1~3日の潜伏期間を経て、38度以上の急な発熱・頭痛・全身のだるさ・筋肉痛・関節痛などが出現し、咳や鼻水が加わります。「かぜ」より重い全身症状がみられ、感染力も強いのが特徴。

重症化するケースも

厚生労働省によると、高齢者ら免疫力が低下している人が感染すると、肺炎を併発するなど重症化するケースも認められる。

普通の風邪とインフルエンザの違い

「それと今の時期は、急な高熱や関節の痛みなど、普通の風邪とは違う症状が出た場合は、インフルエンザの恐れがあります。インフルエンザの薬が効くのは発症から48時間以内のため、38度以上の高熱が続いたら、できるだけ早く病院へ行ってください」

基本的な感染予防法は?

インフルエンザの感染を防ぐため、次のことに気をつけましょう。

(1)正しい手洗い
・ 外出先から帰宅した時や調理の前後、食事前などは、こまめに手を洗う
・ ウイルスは石けんに弱いため、石けんを使って正しい方法で手を洗う

(2)ふだんの健康管理
ふだんから、十分な睡眠とバランスのよい食事を心がけ、免疫力を高めておきましょう。

(3)予防接種を受ける
予防接種(ワクチン)は、インフルエンザが発症する可能性を減らし、もし発症しても重症化しにくくする効果があります。重症化しやすい方は、医師と相談して予防接種を受けることも考えてみましょう。

(4)適度な湿度を保つ
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50%~60%)を保つことも効果的です。

(5)人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行してきたら、不要不急のときはなるべく、人混みや繁華街への外出を控えましょう。

参考動画

アナタの「常識」は古い? インフルエンザの新「常識」

マスクの着用はインフル予防には逆効果!?

「インフルエンザは基本的に飛沫感染か接触感染。『感染者の咳・くしゃみを近くで口や鼻から吸い込む』『ウイルスのついたつり革やドアノブに触れ、その手で自分の鼻や口に触れる』という経路で感染します。そのためマスクをしても、つけ外しの際に、手で口や鼻に触れたら感染は防げません。むしろ非着用時より、手や口に触れる機会が増えることで、感染のリスクが増大するともいえます」

うがいも効果なし!?

うがいに関しては、ウイルスによる感染症への予防効果を示す確固たる研究成果はありません。「ウイルスが喉に付いた場合、すぐに細胞へ侵入し、うがいをしても洗い流すことはできません。喉に入らないように手洗いをしたり、マスクをしたりすることが大切です」

ワクチン接種はどこまで有効なのか

近年高まっている「インフルエンザワクチン」への不信感

数年前、あるウイルス感染の専門家が「インフルエンザワクチンは打たないで!」と題する書籍を出版し、「ワクチンは劇薬で副作用ばかりで、まったく効かない」と述べたことも少なからず影響しているようで、「インフルエンザの予防接種は意味がない」といった情報がネットを中心に広まっています。

インフルエンザワクチンの有効率は低い

インフルエンザワクチンの有効率は60%、と言われたら多くの人(医師もいることは嘆かわしいが)は、100人がワクチン接種を受けると60人がインフルエンザに感染しないと判断するであろう。この考え方は医療統計学としては間違いである。医療統計学ではワクチンを接種した100人と接種しなかった100人のグループを2つ作った場合、接種したほうはインフルエンザに10人感染、接種しなかったほうは25人感染したと仮定しよう。その場合、25人-10人=15人、15人÷25人=60%との数字が導かれ、これを有効率と呼んでいる。

なぜ効かないの?

インフルエンザの型は、大きく分けるとA型、B型、C型の3種類ですが、A型だけでもさらに144種類の亜型に分かれています。
一方、インフルエンザワクチンに含まれているのは3種類程度で、たとえばAソ連型(H1N1亜型)と、A香港型(H3N2亜型)と、B型といった組み合せになっています。当然、ワクチンに含まれている型以外のインフルエンザウイルスには効きませんし、しかもウイルスはすぐに変異します。

昨シーズンに改良されたが…

日本はこれまで、流行しやすいA、B型を対象に、A型2種、B型1種を入れた3価ワクチンを製造していたが、今シーズンからB型を1種類増やし、A型2種、B型2種の4価ワクチンに改良した。厚労省は、対応するウイルスの種類が増えることで、インフルエンザの発症や重症化に対する予防効果が上がることが期待される、と説明している。

「有効だ」という意見も

いくつかの信頼できる様々な研究を総合すると、65歳以下のインフルエンザ発症のうち、ワクチンを接種すれば70~90%ぐらいは予防できるだろうと考えられます。

予防接種の副作用は?

インフルエンザの予防接種は、筋肉注射ではなく皮下注射なので、打った局部に痛みが生じやすくなります。また、ウイルスを不活化した一部分と補助剤を体内に入れて抗体を作るので、発熱したり、体がだるくなる人もいる。

重い副作用の危険性も

インフルエンザのワクチンにも重い副作用が出る危険性があります。報告されている副作用には、ギラン・バレー症候群(筋肉を動かす運動神経の障害のために、手足に力が入らなくなる難病)、肝機能障害、脳炎、ぜんそく、さらにはアナフィラキシー(全身に急速に現れるアレルギー症状)などがあります。

それでも予防接種を受けるメリットとは

重症化を防ぐ面が大きいと言われている

なぜ予防接種を受けるのかというと、発熱や頭痛などの発症を抑える為であり、合併症を起こして肺炎や脳症等の重篤化の症状を予防する為なのです。
ワクチンの最も大きな効果は、この重症化を予防する効果です。

予防接種する?しない?

「インフルエンザワクチンの接種は任意です。ですが、人にうつす可能性が高く、かつ、うつしてはいけないような環境にいるかたは受けたほうがいいこともあります。私のような医師や、高齢者が多くいる老人ホームで働く人などはそうかもしれません。一方、自営業で集団生活をしない、家の外にあまり出ないという人なら費用や副作用を考えて受けないという選択肢もあるでしょう」

予防接種するならいつがベスト?

通常、インフルエンザは1月末に大流行しますが、それは年末年始に、首都圏から感染者が全国に散らばり、広がってしまうため。それを防ぐためには、とにかく早い段階での接種が有効です。11月中旬までに接種を済ませておくことをおすすめします

接種3週間前から機能性ヨーグルトを

「 免疫力を高める 効果がある機能性ヨーグルトを取ることで、 免疫力 で重要な役割を果たす『NK細胞』(ナチュラルキラー細胞)が活性化します。最新の研究で有効だと判明したのは、予防接種の少なくとも3週間前から機能性ヨーグルトを毎日取ること。これで予防接種を受けるときに、免疫力を最高の状態に持っていくことができ、感染予防効果が格段にアップすることがわかってきました」

予防に一番大事なのはワクチンではなく…

「免疫力」を高めよう

インフルエンザの最良の予防法はワクチンを打つことではなく、日頃から疲労を溜めず、バランスのよい食事・適度な運動を心がけ、免疫力を高める生活をすることなのです。

「発酵物」で免疫力アップを

発酵食品は納豆や味噌、醤油、お酢やお酒、漬物などの伝統的な食品はもちろんですが、チーズやヨーグルトなど最近になって日本に持ち込まれた食品まで多岐にわたります。
発酵食品の特徴は腸内環境を整える善玉菌を多く含むことです。
ではなぜ善玉菌を多く含む発酵食品を摂取して腸内環境がよくなることでなぜ免疫力が高まると考えられているのでしょうか?

免疫力アップに人気No1のヨーグルト

インフルエンザ対策として意識して摂取している食品について尋ねると「ヨーグルト」(51.6%)、「納豆」(25.3%)、「しょうが」(24.6%)などが上位となりました。このうち半数以上が挙げたヨーグルトは免疫力を上げる、胃腸の調子を整える効果があると注目を集めています。

喉を潤し抗菌効果もあるハチミツ

鼻や喉の粘膜は、体の外から入ってきたウイルスと最初に接する場所です。粘膜は「線毛(せんもう)」と呼ばれる毛におおわれています。体に侵入しようとするウイルスは、この線毛によって体外に排出される仕組みになっています。しかし冬は外気が乾燥しているため、粘膜が乾燥して線毛の動きが低下しやすくなります。
その対策に役立つのがハチミツです。ハチミツには、喉を潤す働きに加え、抗菌効果もありますから、うがいの水にハチミツを溶いて、喉を潤し殺菌するようにしましょう!

特に高い抗菌活性力を持つ「マヌカハニー」

ハチミツの中でもマヌカ蜂蜜は、抗インフルエンザウイルス活性がとても高く、日常的に摂取しておくことでウイルス感染や症状の悪化を防ぐことが期待されているのだそうですよ。

ビタミンC、にんにく、カテキンの積極的な摂取を

「ビタミンCにはウイルスの侵入に対して働く免疫機能を活性化する効果があります。また、にんにくに含まれるアリシンには抗菌・抗ウイルス作用があるので、にんにくを使った料理は効果的といえるでしょう。さらに、緑茶や紅茶に含まれるカテキンは 天然のワクチン ともいわれ、ウイルスが体内で増殖するのを防ぐ効果があります」

体を温めるのも免疫力アップに効果的

体温が低いよりも高いほうが免疫力が高くなります。

口呼吸ではなく鼻呼吸を

「口呼吸はダイレクトに口内にウイルスが侵入してしまいますが、鼻呼吸は鼻の入り組んだ構造と鼻毛でウイルスの侵入を妨ぐことができます。」

大笑いや大泣きで免疫力アップ?!

「大笑いすることはNK細胞を活性化させる手っ取り早い方法です。とはいえ作り笑いでは活性化しません。おなかを抱えるほど大笑いして、感情をしっかり動かすことが重要。同じ意味で、映画やドラマを見て、大泣きすることもNK細胞の活性化を促します」

いかがでしたか。インフルエンザの予防は日頃からの行動がポイントとなるようです。予防だけでなく、万一感染してしまった場合には他人にうつさないケアも必要ですね。大流行を防ぐために、ひとりひとりができることはいっぱいありそうです。

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