日本人も頑張ってます!宇宙特集

無限の可能性が広がる宇宙の話題第2弾!今回は、ISS(国際宇宙ステーション)に滞在する宇宙飛行士・大西卓哉さんの仕事ぶりや宇宙の研究・開発を行うJAXA(ジャクサ=宇宙航空研究開発機構)の話題など、日本と日本人に関係のあるトピックスをお送りします。(2016年10月24日更新)

[写真] 大西宇宙飛行士、日本の技術でアメリカの宇宙船をドッキングへ! / sorae.jp

「模擬宇宙空間」に13泊14日で38万円。被験者募集中

(写真:sorae.jp)

13泊14日間の「閉鎖環境適応訓練設備」に滞在する被験者をJAXAが募集している。条件は20~55歳の健康な男性で、協力費は総額38万円とのこと。募集期間は10/13~10/26。

その目的は?

その目的は「ISS(国際宇宙ステーション)などの宇宙空間での長期滞在における、健康評価手法を向上」させることにあります。
これまで数々の宇宙飛行士がISSに滞在してきましたが、その精神心理的な状態の把握手法は制限されていました。なにせ医者の往診ができない宇宙空間ですから、定期的な地上の専門家とのビデオ問診が唯一の手法だったのです。

上記の記事では、第2回の試験終了についても報じています。

過去2回で7,000人近くが応募の超人気試験

第1回、第2回と無事に終了した閉鎖環境滞在試験ですが、予定では2016年度に最大3回の試験が設定されています。第1回は4,000人、第2回は2.900人が応募するなど超人気なこの試験

宇宙で実験中!ISSの日本実験棟「きぼう」

(写真:マイナビ進学U17 )

有人宇宙実験施設「きぼう」とは?

「きぼう」は、国際宇宙ステーションにある、筑波宇宙センターが管理している実験棟。

「きぼう」ではさまざまな実験が行われていますが、その一つがタンパク質の結晶化です。
なぜわざわざ宇宙空間で実験しなくてはならないのでしょうか? それは地球上では手に入りにくい宇宙空間の環境が必要だからです。
タンパク質のことを詳しく知るには、タンパク質を形作るアミノ酸のつながり方を分析しなくてはなりません。そのためにいろいろなタンパク質を結晶化させて測定するのです。もちろんキレイに結晶化すればよりはっきり特徴が分かりますよね。
ところが、地球上だと重力に引っ張られて結晶が素直に育ちません。それでは純粋なアミノ酸の構造を分析できなくなります。
そこで宇宙空間の出番です。重力圏ギリギリの場所にある宇宙ステーションの「きぼう」内なら重力の影響がほぼなく、タンパク質の結晶が自然な形でキレイに育ちます。その結晶を地上に持ち帰って研究に使用するわけです。

大西宇宙飛行士、ロボットアームでドッキングへ

(写真:sorae.jp)

大西宇宙飛行士が担当

そして2016年10月14日(UTC)打ち上げ予定のシグナス補給船「アラン・ポインデクスター号」では初めて、ISS側から宇宙船を捕まえる操作を日本人宇宙飛行士の大西卓哉さんが担当することになりました。

無事、捕獲成功!

科学実験機器や宇宙飛行士のための消耗品を搭載したシグナス宇宙船「アラン・ポインデクスター号」は、11時28分(グリニッジ標準時)にISSのロボットアームによって捕獲。2.3トンにも及ぶ、物資の運搬に成功しました。

ISSロボットアームを操作して船外活動を支援する大西宇宙飛行士の動画(作業は9月1日)

今回の作業には日本の技術が

「こうのとり」は、カーナビと同じGPSを使ってISSに接近しますが、ある程度接近するとISSと直接通信してGPSの精度を高める「GPS相対航法」を使います。これに使うのが近傍通信システム「PROX」というもので、「こうのとり」用に開発して三菱電機が製造しているものをOSCが購入し、「シグナス」に搭載されました。
「PROX」は「こうのとり」とISSの通信システムなので、ISS側の装置もあります。これは日本の宇宙ステーション実験室「きぼう」に設置されているので、「シグナス」は「きぼう」と通信しながら接近することになります。このため、「シグナス」は過去5回のISSへの飛行の全てで、JAXAの「こうのとり」運用チームのサポートを受けました。
また「シグナス」のエンジンも日本製です。IHI製の人工衛星用エンジンが搭載されています。
大西宇宙飛行士撮影、宇宙から見た台風18号

ヴァン・アレン帯の謎に迫れ!人工衛星「ERG」打ち上げへ

(写真:ITmedia ニュース)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙科学研究所(ISAS)は地球をドーナツ状に取り巻く放射線の帯「ヴァン・アレン帯」を探査する衛星「ERG」(エルグ)を2016年中に打ち上げると発表

ヴァン・アレン帯とは?
地球の赤道上空には、数千キロから約3万キロの範囲で、放射線がドーナツ状に取り巻く「ヴァン・アレン帯」が広がっている。この放射線は、人工衛星のコンピュータを誤作動させたり、宇宙飛行士の被ばくを引き起こしたりする恐れがある。
その磁気圏の中には、太陽風のプラズマなどが閉じ込められたような領域があり、それをヴァン・アレン帯と呼ぶ。ヴァン・アレン帯は放射線帯とも呼ばれ、高いエネルギーの電子が大量に存在している。この高エネルギー電子の量は太陽活動によって激しく変動しており、太陽活動が活発になり、高エネルギー電子(粒子)がたくさん飛んでくる宇宙嵐と呼ばれる現象が起こると、ヴァン・アレン帯の高エネルギー電子が急激に増加することが知られている。すると、地球のまわりを周る人工衛星が障害や故障を起こすこともある。
ERGはそこで何を?

(写真:HARBOR BUSINESS Online)

このヴァン・アレン帯の高エネルギー電子が、どこで、どのように作られているのかは、ヴァン・アレン帯が発見されて以来の謎となっている。実は、太陽風のもつ電子のエネルギーは100電子ボルトほどしかなく、一方でヴァン・アレン帯の電子のエネルギーはその1000倍以上も大きい。はたして何がこれほどまでに大きなエネルギーを生み出しているのか。その謎を解くために開発されたのがERGである。
ヴァン・アレン帯がどのようにしてできているのかがわかれば、発見から半世紀を経て、その謎に終止符を打つことができる。またヴァン・アレン帯に存在する放射線は、人工衛星や宇宙ステーションの安全性に大きな影響を及ぼすため、その状態を予想することもできるようになると期待されている。
ヴァン・アレン帯に突っ込むERG
そしてERGの最大の特長は、ヴァン・アレン帯を詳しく探るために、その中へ飛び込むようにして飛ぶことである。前述のようにヴァン・アレン帯は強い放射線があるため、コンピューターなどが誤作動を起こす危険があり、精密機器のかたまりのような人工衛星にとっては長居したくない場所である。その中にあえて突っ込んでいかなければならないということは、衛星本体や観測機器などを強い放射線に耐えられるように造らなければならないということであり、そのためERGの開発は当初の計画から1年ほど遅れることになった。

「ひので」が打ち上げ10周年

(写真:sorae.jp)

9月23日、太陽観測衛星「ひので」が打ち上げられてから10周年となった

「ひので」とは?
地上約640kmを太陽同期軌道にて飛行するひのでは、太陽を観測するために3つの科学観測装置を搭載。目に見える光をとらえる可視光磁場望遠鏡 (SOT)、コロナの下にある遷移層を観測する極紫外線撮像分光装置 (EIS)、そしてコロナを捉えるX線望遠鏡 (XRT)により、コロナ内部の爆発現象などを詳細に観測します。
ひのではこれらの観測装置によって太陽大気の詳細や低い太陽大気における磁気エネルギーの変異、そして光球からコロナの研究が可能です。さらにひのでは太陽フレアを観測することで人工衛星や無線通信、送電線に影響を与える磁気嵐の仕組みを解明し、宇宙天気予報(磁気嵐の予報)にも貢献しています。
ひので10周年ムービー

JAXAとNASAによる、ひのでの打ち上げから、これまでの太陽活動を詰め込んだ10周年記念動画

気象衛星「ひまわり9号」を11月1日に打ち上げへ

(写真:sorae.jp)

JAXAや気象庁は、静止気象衛星「ひまわり9号」を今年の11月1日に打ち上げるとを発表した。種子島宇宙センターから日本時間の15時20分~18時18分に打ち上げられる。

ひまわり9号とは
このひまわり9号は気象庁が開発し、三菱電機が製造を行う静止気象衛星です。内部には最先端の可視赤外放射計(AHI)を搭載し、日本周辺地域の天気予報や台風・集中豪雨、気候変動などを観測し、私達の生活だけでなく航空機や船舶の運用にも役立てられます。

「こうのとり」6号機を12月9日打ち上げ

(写真:HARBOR BUSINESS Online)

JAXA宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機の打ち上げを12月9日に行なうと発表した。打ち上げは9日の22時26分に種子島宇宙センターから行われる

「こうのとり」6号機の役割は?
「こうのとり」は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した無人補給船で、国際宇宙ステーション(ISS)へ酸素や窒素などの空気、食料品や水といった人が生きるのに必要な物資をはじめ、衣服や日用品、さらにISSの実験装置や、予備の部品などを輸送することを目的としている。搭載可能な補給物資の質量は約6トンにもなる。
ISSへの補給を終えたあとは、地球の大気圏に再突入して処分される。その際、機内にはISSで発生したゴミが積み込まれており、機体もろとも処分する役目ももっている。

科学衛星「ひとみ」失踪?

(写真:インターネットコム)

JAXAは2月17日に打ち上げた最新鋭X線天文衛星「ひとみ」は、3月26日に機器の不具合で通信途絶。4月28日に復旧を断念しプロジェクトは失敗に終わった。

2月17日に打ち上げ成功したが…

「ひとみ」は2月17日17時45分に発射。19時40分には電波を受信し、宇宙で活動するための「太陽電池パドル」が正常に展開されたことを確認した。

ひとみは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の人工衛星。最新のX線望遠鏡を備えている。
暗黒エネルギーや暗黒物質(ダークマター)の支配のもとで宇宙最大の天体である銀河団ができあがった過程や、多数の銀河の中心に君臨する巨大ブラックホールの生い立ちなどを調べる、壮大な目的がある。
3月26日に異常発生
3月26日に衛星からの電波を正常に受信できなくなった。
さらに米国の国防総省戦略軍統合宇宙運用センター(JSpOC)は、宇宙空間にあるひとみの周囲に複数の物体が散っているとTwitterで報告した。
一時は、ひとみが何かと衝突して粉々になったのではないかと不安も広がったが、しかしその後JAXAは、短時間ではあるが衛星からの電波を受信できたとして、復旧に努める姿勢をあらためて示した。
JAXAの推定によると、ひとみは3月に姿勢を変更したあと、回転していると誤って判断し、それを止めようとした結果、かえって異常な回転状態になり、宇宙で活動するために必要な電力を確保する「太陽電池パドル」が分離してしまった。
4月28日、運用断念
異常が発生した宇宙観測衛星「ひとみ」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は機能を回復することは期待できないとして、運用を断念した。
「JAXAはその後の調査で、空中分解の原因を2つに絞りました。ひとつは、姿勢制御プログラムの設計ミス。そしてもうひとつが打ち上げ後、狂った姿勢を直すために委託業者が行った単純な操作上のミスです」
「ひとみ」後継機の開発許可を要求しているが…
「今回の発表の1週間前、JAXAは突如、『ひとみ』が、実は遠い宇宙にあるブラックホール周辺の高温ガスの観測に成功していたと発表しました。これは、『ひとみ』がいかに高性能であったかを証明して、後継機開発への批判を和らげるための下準備なのです」
加えて、大西卓哉宇宙飛行士の活躍を追い風にしたフシもある。とまれ、目論見は奏功し、馳浩文科相は15日、後継機の開発費を来年度の予算要求に盛り込むと発表したわけだ。

「ひとみ」の開発には310億円かかったとされてり、批判も出ている

「事故が起きた技術的な原因は分かったにせよ、なぜそのような事が起きたのか、また、今後どう改善し、ミスを犯さないようにするのか、“出資者”である国民に対しての説明はなされていません。もしこれが民間企業だったら、株主損害賠償請求訴訟もの。肝心な部分が曖昧なまま開発しても、同じことを繰り返す可能性は十分にあります」

日本でも人工衛星を個人で買える時代に

(写真:インターネットコム)

10cm四方の超小型衛星「ARTSAT KIT」は個人でも入手可能な低価格で商品化

最初の1機目は、1機限定の40万円と言う価格から、プロジェクト開始早々に支援されました。また2機目は、宇宙にロマンを馳せる一般男性の申し込みにより、60万円にて支援されました。

流れ星を好きな時に好きな場所で?!

(写真:GIZMODO)

日本のスタートアップ企業「Star ALE」は人工衛星から人工流れ星を放ち、好きな場所で好きな時間に流れ星が楽しめる技術を開発している。

でもどうやって?

「流れ星の“もと”になる粒子を積んだ人工衛星を打ち上げて遠隔操作で飛ばすんです。粒子が大気圏に突入するときに燃えて光って見えるのが流れ星。だから地上から見えるだけの明るさで発光するサイズの粒子でなければいけない。現状では、粒子の調整など技術的な課題は概ねクリアできました」

色も選べる

人工流れ星は色を変えることができる。色の種類は白、青、緑、オレンジの4色だが、そのレシピは企業秘密だという。ALEは新色の開発に取り組んでおり、候補の色や、それらを作るための成分を公表している。

都会でも見える明るさ

また実験とはいえ、すでにマイナス1等星の明るさを実現しているそうです(夜空で一番明るい恒星シリウスがマイナス1.4等星)。
北極星よりはだいぶ明るく、シリウスより少し暗い程度が人工流れ星の明るさ。月は大変明るいため、満月の夜に流すのは難しそうだとか東京の中心部に流れ星を流せば、首都圏のほぼ全域で見ることができる

お願いもしやすい?

自然の流れ星よりもゆっくり流れるそうで、このスピードなら3回唱えるのもカンタンですよ!

でもお高いんでしょう?

流れ星1つあたりのコストは現状で100万~200万円くらいになりそう