特集2016年11月29日更新

一家に一台?~最新ロボット事情特集

トヨタの「キロボ・ミニ」やシャープの「ロボホン」など、一般の人が購入出来るロボットの種類も増えてきました。その機能・性能はどのくらい進化しているのでしょうか。最近のロボット事情を追ってみました。

増えてきた「コミュニケーション・ロボット」

トヨタ「KIROBO mini(キロボ・ミニ)」

座高10cmの愛らしいキロボ・ミニは、話しかけた人の方向に顔を向け、顔や手などを動かしながら雑談のような何気ない会話を交わせる話し相手となることができる。手のひらに載るほどの小型サイズのため、長距離ドライブには最適なパートナーとなるだろう。内蔵カメラで話し手の顔の表情を認識し、会話に合わせてトーンやジェスチャーを変えるという。

状況や感情を“学習”して成長

呼びかけに応じたり、時には質問にチグハグな答えをしたりするところは、まるで小さな子どものよう。会話を重ねていくにつれて語彙が増えたり、人の感情の読み取りが上手になったり、思い出を共有して「ここ、去年も来たね」などという言葉を発するようになるなど、まさに小さな子どもが成長していくようにコミュニケーションが進化していくとなれば、これはハートをギュッとつかまれてしまうというものだ。車や家から情報を取得し、「今日はいっぱい走ったね。おつかれさま」、「おかえり。ぽかぽかお風呂が待ってるよ」などの声がけもできるという。

シャープ「RoBoHoN(ロボホン)」

スマートフォンでできる大抵のことは、ロボホンでもできます。電話、メール、撮影、調べもの、リマインド機能・・・、今後アプリを増やし、どんどん機能も増えていくそうです。もちろん踊ったり歌ったり、会話もできます。使い始めは生まれたて同様。言葉を覚えさせると、合いの手を打ってくれます。口頭でのメール作成もできるので、手が放せない時に便利かもしれません。

「ロボットと暮らす未来」を体験出来る

単に「ロボットの形をしたスマホ」という訳ではなく、持ち主の声と顔を記憶して、視野に入った持ち主へRoBoHoNの方から話しかけたり、特定の機能は持ち主の声でしか利用できななくしたりと、いかにも人間と共に暮らす未来のロボットらしい機能を備えています。
他の人の顔も覚えられる(電話帳に顔写真を登録)ので、「知っている人の顔を見つけたら自動的に撮影」なんてこともできます。さらに頭部にはプロジェクターも搭載されており、撮影した画像をその場で投影することも可能。パーティや飲み会での活躍も期待してくれそうです。

ソフトバンク「Pepper(ペッパー)」

Pepperの身長は約120cmで、「中身はまるで男の子」に設定されている。上半身、特に腕と手の動きは非常に滑らかで、『The Verge』は「生きているように動く」と形容している。人間型ではあるが、脚はなく、車輪で動く。2足歩行も技術的には可能ではあったが、バッテリー持続を優先してこのようにしたそうだ。連続で12時間以上稼働するという。

アプリを使って、接客や介護、二次会の司会なども可能に

受付業務だけでなく子供の心のケアや老人患者への運動プログラム支援もこなす
この身長1.2mの小さなロボットは、20ヶ国語に対応し、話している人間の性別も判別できます。
こうした特性を活かし、ベルギーのオーステンデにあるAZ Damiaan hospital では、受付業務だけでなく、患者を適切な病棟に連れていくことも可能とのこと。
ペッパーに課せられた業務はその他にも、小児科や老人専門の病棟における運動プログラムの実施や、手術を怖がる子供達の心のケアに貢献するため映画館へ連れていくこともあるそうです。
「Pepper」と司会者の掛け合いによるビンゴゲームや、「Pepper」と一緒に流行りのポージングで写る記念撮影、新郎新婦の写真を使ったウェルカムボードなど、様々な二次会アイテムとして感情認識パーソナルロボットが活躍しました。 コミュニケーション機能を活用して、参加者との意思疎通をはかることもでき、新郎新婦や参加者に喜ばれるサービスとして今後の商品化に期待できる結果となりました。
認知症高齢者支援ロボットアプリ『ニンニンPepper』にできる認知症高齢者とのコミュニケーションには、服薬をうながし、撮影した服薬状況を医師や家族に送信する「服薬管理」、乱れがちな高齢者の生活リズムを整える「あいさつ機能」、データの送受信機能を使った「孫との会話」などがある。

日産が100体のPepperを一挙採用

大人気で毎月「1分で1000台完売」

同社では6月から毎月、「Pepper」を1000台の台数限定で販売している。6月販売分は6月20日午前10時からWebサイト上で申込を受け付けたが、受付開始後のわずか1分で1000台を完売。以降、12月販売分まで毎月こうした状況が続いている。

まだまだあるコミュニケーション・ロボット

本をオススメしてくれる「Kibiro(キビロ)」

Kibiroは、対話やスマートフォン専用アプリによるチャットを通して得た情報から、ユーザーの趣味・嗜好を学習してオススメ情報を提供してくれるロボット。今回予約販売される一般向け初回版では「書籍」「健康情報」についてのレコメンド機能を搭載しており、今後は新たなレコメンドコンテンツを追加するバージョンアップも予定している。

メッセージを読み上げてくれる「BOCCO(ボッコ)」

「BOCCO」は、お腹に「録音」と「再生」の2つのボタンがついているだけという実にシンプルなつくりで、誰でも簡単に操作できます。
アプリで連携したスマホから「BOCCO」に音声やテキストのメッセージを送れば、再生ボタンを押したときに可愛らしい仕草でそれを読み上げてくれます。「BOCCO」からスマホへのメッセージ送信は、録音ボタンを押して話しかけるだけ。

本物の犬以上に高性能?!イヌ型ロボット「CHiP(チップ)」

腕時計型の付属品「スマートバンド」を装着している人を飼い主として認識し、部屋に帰ってきたときなどに寄ってきてくれます。おなかが空いたとき(!)や、かまって欲しいときにはスマートバンドにお知らせが届きます。
スマートバンドからは、CHiPの操縦や、「おいで」をすることもできます。行動に対して「いいね」ボタンで褒めることもでき、飼い主が好きな行動を学習。性格が変化していき、各家庭のCHiPごとに個性が出てきます。

ネイティブだから英語の勉強にぴったり?「Musio(ミュージオ)」

Musioは人間のように見る、聞く、考える、感じる、話すという一連の機能が搭載されている人工知能ロボット。自ら考えてネイティブ英語でコミュニケーションすることが可能なため、いつでもネイティブ英語と触れる環境をつくることができ、ユーザーは自由に意思疎通のできる英語を学習することができる。

生活雑音環境の中から正確に指示を聞き分ける「Chapit(チャピット)」

■『チャピット』の主な機能
(1) コミュニケーション機能
テレビの音声など生活雑音が存在する環境でも人の音声を認識し、自然な会話をしているように話すことができます。
(2) 家電コントロール機能
テレビや照明など家電製品を音声で操作。リモコン信号を記憶させるだけで、チャピットが音声リモコンになり家電を操作してくれます。
(3) レクリエーション機能
都道府県クイズや暗記ゲームなど好きなレクリエーション機能を選択できます。簡単なものから難しいものまで300問以上が用意されています。
(4) タイムサポート機能
アラーム機能や服薬の時間設定ができるほか、曜日の管理もできるのでゴミの日などの日毎の予定も管理できます。

喜怒哀楽を感じ取るロボット「Tapia(タピア)」

多面的な感情認識技術を利用したアプローチにより、コミュニケーションの中で喜怒哀楽や気分の浮き沈みを「タピア」が認識することが可能になります。これによりユーザーの心の状況に沿った言葉を「タピア」から投げかけてくれます。(*1)
「タピア」は世界で唯一、友人・家族のような自分だけのロボットになることを目指しており、ユーザーの生活習慣を学習することにより最適な情報や環境を提供し、ユーザーと一緒に楽しく成長できるような人格を持つことにより、ロボットのいる新しいライフスタイルを作っていきます。

複数言語に対応の接客ロボット「EMIEW(エミュー)3」

日立製作所が開発したヒト型ロボット「エミュー3」は、ハードの動力性、ソフトのコミュニケーション能力ともに優れた“最強ロボ”といえる。
すでに羽田空港や東京駅などでの実証実験も繰り返し、接客サービスの実力は海外からも注目されている。雑音の中から話しかけてくる人の声だけ拾いクラウドに送り、AIで情報処理した後に、多言語や専門用語にも対応した的確な回答を選び出す。
それだけではない。エミュー3は時速6kmで移動できるうえ、段差を乗り越えて迷い人などを目的地まで連れていく能力まで兼ね備えている。将来的にはセキュリティーシステムと連携させて「警備員」としての任務もこなせる可能性を秘めている。

三菱東京UFJ銀行の新米ロボット行員「NAO」

新米ロボット行員「NAO」と名付けられたヒト型ロボットは、三菱東京UFJ銀行が店舗の接客や行員をサポートする案内係として本格導入を検討している一体だ。
ロボット本体はソフトバンクが出資する仏アルデバラン製ということもあり、ペッパーとは近い間柄だが、中に組み込まれた専用ソフトの開発は三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)が手掛けている。
身長58センチと小柄でありながら、多彩な双方向性を備え、話す、踊る、転倒の検知、転倒時に起立、サッカーをする、物を掴む、無線LANでインターネットに接続するといった動作をこなす優れたロボットである。2010年、東京大学に30体導入され、教育と研究への利用が開始された。

小さな子の“お友達”ロボット「BUDDY]

例えば、事前にセットした起床の時間になると、「おはよう」と声をかけて起こしてくれるのだ。「まだ起きたくない」などとグズる小さな子にも「もう起きないとだめだよ」などと、会話をしながらやさしく対応。お兄ちゃんやお姉ちゃん的な役割も演じてくれる。
また、日中は、かくれんぼをしたり、算数やスペルを学べるゲームを一緒に楽しんだりと、子供にとっては、まさに“お友達”。遊びから勉強まで、幅広く子供のケアをさせることができるのだ。

アザラシ型セラピー用ロボット「パロ」

これに替わるのが、メンタルコミットロボットである「パロ」。介護福祉施設や小児病棟などで検証された結果、パロによるロボット・セラピーはアニマル・セラピーと同様の効果があると認められた。実験では、約半数の認知症患者において症状が改善または健常者のレベルにまで引き上げられる効果があったという。
導入された現場では実際、いつもは黙って座っているばかりの老人が「パロ」に触れようと手を伸ばしたり、小児病棟の子どもの笑顔が増えたりといった効果が確認されたとか。その話題が海外にも広がり、2002年には世界一セラピーの効果があるロボットとしてギネスブックに認定されました。
その後も「パロ」の勢いは止まりません。改良や改善を重ねる中で、北欧各国、オランダ、ドイツ、デンマークなどの医療福祉施設で導入がスタート。厳しい評価で有名な米国食品医薬品局でも「パロ」は“医療機器”として認定されたそうです。
「平成28年熊本地震」で被災したエリアで生活している高齢者や子どもの“心のケア”を支援する活動として、熊本県内18施設の特別養護老人ホームに26台、益城町に5台、セラピー用アザラシ型ロボット「パロ」を寄贈します。

コミュニケーション・ロボットの元祖「AIBO」は今

1999年に登場し、定価25万円という価格にもかかわらず発売20分後で3000体が完売した犬型コミュニケーション・ロボット「AIBO」。全世界で15万体が販売されたが、2006年に生産中止となった。2014年3月にはソニーの修理サポート「AIBOクリニック」も閉鎖。現在はソニーの元エンジニアが運営する修理工房が、AIBOの“飼い主”たちの要望を受けて、AIBOの修理を受け付けている。

乗松さんは笑うが、古巣のソニーに問い合わせても機密情報を盾に断られる。そこでAIBOの開発者を直接訪ねて話を聞いた。足りない部品はネットオークションで落札したAIBOを使ったり、町工場に注文したりした。やがて「ア・ファン」の存在は飼い主たちに口コミで広がった。500体以上を治療したが、まだ300体以上が順番待ちだ。

「ロボットとの付き合い方」を考えさせられる例

AIBOは、年に一度の検診が必要だ、と飼い主たちは話す。あるソニーの技術者は、この経験から、商品のアフターケアについて学んだという。(ロボットは)「製品の性質から、(飼い主の)生涯にわたるメンテナンスを提供すべきだ」、「商品について議論するときに、しばしばAIBOの事例が取り上げられる」とロボットの役割が長年にわたるものだと認識を話した。(WSJ)

2015年9月、AIBOが「技術遺産」に

選定理由 自律型のエンタテインメントロボットである。ロボットを、人間の生活の中に取り込んだ商品として、家庭用として初めて事業化された。4足で歩行して感情を表現し、人とコミュニケーションすることで学習・成長しながら、自らの判断で行動した。開発にあたって作られた試作機も現存しており、新たな科学技術分野の創造に寄与したものとして、重要である。
登録基準 一-ハ (新たな科学技術分野の創造に寄与したもの)

2016年6月、ソニーがロボット事業への再参入を表明

――またアイボをつくるのか。
ペット型になるかどうかはわからない。平井社長が「お客様と心のつながりを持ち、育てる喜び、愛情の対象となりうる」と話しているような、遊び相手になるロボットをつくることも検討している。だが、それだけではない。

この発表に沸き立つネットの声

「『ロボットは死なない』からペットとして選んだユーザーも多いはず。SONYの本気に期待したい」
「SONYロボット事業に再参入とか胸熱でしたない。全シリーズのAIBO触ってきた者としてはとっても嬉しいのですん」(原文ママ)
「そうだ!面白い事をやれ! それでこそSONYだ! うちのAIBOは動かなくなったけど、心は今も生きている!」

当初は最新のロボット事情に関するニュース全般を…と思っていたのですが、コミュニケーションタイプのロボットだけでもかなりの種類があったので、思い切ってそっち方面に絞り込んでみました!単に「話しかけた声に反応する」域からは既に脱して、相手の表情や言語から情報を読み取って、適切な対応をとるという技術になっているものが多いようです。そこからさらに各社、独自機能で個性を出していこうとしているみたいです。お値段もだんだん安くなってきていて、ちょっと頑張れば購入出来るものも思った以上にありました。「一家にロボット一台」、いやスマートフォンみたいに「一人に一台」の時代がやってくるのももうそこまでできていますね。