転職サービス「doda」を提供するパーソルキャリアの調査機関「Job総研」は、2024年10月3日に282人の社会人男女を対象とした「2024年 日本経済の意識調査〜賃金・物価編〜」を発表した。
景気不安が結婚に影響するか? 「とても影響する」男性38.1%、女性36.1%
<景気の悪さを実感する社会人74.2% 理由の3位「外国人観光客の増加」、2位「自身の節約志向」、1位は?>の続きです。
この調査は、自民党総裁選で新首相が誕生したことにより、今後の経済対策に改めて注目が集まっているなか、実質賃金は直近プラスに転じたものの、26カ月連続のマイナスを記録し(厚生労働省の毎月勤労統計調査より)、賃上げが物価高に追いついていない状況は明らかとなっている。
そこで、現在の景気への印象や賃上げ実感の有無、また現在の消費意欲や景気不安の有無とその理由、さらに景気不安による結婚・出産意欲への影響とその年代別・男女別割合、そして総裁交代による景気回復への期待及び期待する項目などを調査した。
調査では先ず、「現在の景気不安」との質問には、「不安がある」と回答した人が91.2%を占めた。内訳は、「とても不安がある」が25.9%、「不安がある」が31.6%、「どちらかといえば不安がある」が33.7%だった。
また、今の日本経済で不安を覚える項目を聞くと、「物価の上昇に賃金が追いつかない」が73.8%で最多。次いで「年金だけでは老後の生活費が足りない」が62.1%、「税負担による家計負担の増加」が59.2%だった。
つぎに、「景気不安が結婚に影響するか」を質問した。すると、男性の「結婚に影響する」と回答した人が95.0 %(とても影響する:38.1%、影響する:33.7%、どちらかといえば影響する:23.2%)で過半数を超え、次いで女性が90.7 %(とても影響する:36.1%、影響する:26.8%、どちらかといえば影響する:27.8%)だった。
さらに、景気不安は「出産意欲に影響する派」の男女別回答では、男性の方が多く95.6 %(とても影響する:44.8%、影響する:32.0%、どちらかといえば影響する:18.8%)、女性は92.7 %(とても影響する:50.5%、影響する:20.6%、どちらかといえば影響する:21.6%)だった。
続いて、「総裁交代による景気回復への期待」について聞いた。「期待する」と回答した人は58.5%で過半数を占め、内訳は「とても期待する」は15.6%、「期待する」は14.9%、「どちらかといえば期待する」は28.0%だった。
続いて、同回答者に次期総裁に期待する項目を聞くと、「減税」が41.7%で最多。次いで「広く賃上げが行き渡る支援」が35.6%、「安心して出産・育児ができる支援」が32.5%だった。
調査に寄せられた回答者のコメントには、
「生活必需品等の高騰が大きく何を買うにも値上げ。節約するところが限られ、生活が苦しい」「政府が投資を推進しているが今の状況だと余裕のある人は少ない。老後は自己責任なんて、不安しかない」「給料は上がらないのに物価と光熱費はどんどん上がっていく。このままだと生活が本当に苦しいです」
などが寄せられた。
調査結果について、Job総研では、「本調査を通して『賃上げが物価高に追いつかない』状況による現場の我慢や実生活の負担がこれまで以上に強まっている傾向が見られました。特に現役世代である20代が景気による結婚・出産に対して最も不安を感じている状況は、今後も少子化が助長されるだけでなく日本経済の成長に関わってくると考えられます」と総括している。
なお、この調査は現在仕事をしているJobQ Town登録者の男女20~50代の282人を対象に、2024年8月28日〜9月2日、インターネットで行った。