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米通報なし、日本は改善求めず=米兵事件、与野党「合意ほご」と批判

時事通信 2024年7月13日 15時2分

 在沖縄米軍人による相次ぐ性暴力事件で、米側が日米合意に基づく通報手続きを守らなかったにもかかわらず、日本政府は「問題はない」との立場だ。米側に抗議や改善要求もしなかった。日本の捜査当局から外務省に連絡があったことを理由としているが、通報手続きが形骸化していることを露呈。与野党から「合意ほご」と批判が出ている。

 1995年の米兵による少女暴行事件を受け、日米両政府は97年3月、在日米軍が関わる事件・事故が発生した場合、米側が外務省などに速やかに通報することで合意。しかし、昨年12月と今年5月に発生した性暴力事件では米側から日本政府への通報はなかった。

 上川陽子外相は12日の記者会見で「外務省が日本側捜査当局からの情報を踏まえ、日米間で適切にやりとりを行った」と説明。「(日米)合意との関係で問題があったとは考えていない」と明言した。

 これらの事件では、そもそも政府から沖縄県への情報伝達の遅れが問題視された。県などからの反発を受け、政府は5日から可能な範囲で速やかに情報を地元に伝達する運用を始めたばかりだが、日米合意の徹底や改善を米側に求めることには及び腰だ。同盟関係に基づく配慮があるとみられる。

 与野党からは合意が順守されていれば事件の再発を防止できたとの見方がある。自民党中堅は「通報手続きが機能していない。機能していれば次の事件は防げたかもしれない」と指摘。共産党の山添拓政策委員長は12日の会見で、米政府の対応を「日米合意に反する」と批判し、「通報しなくても合意違反に問われない。何のための合意か」と述べた。自民参院議員は「政府の腰が引けている」と不満を示した。

 岸田文雄首相は訪問先の米ワシントンで11日、バイデン大統領と短時間の立ち話を行ったが、米軍の事件には触れなかったもようだ。日米両政府は外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を近く東京で開催する方向で、事件の再発防止も議題となる見通しだ。 

[時事通信社]

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