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月の地下空洞、レーダーで確認=基地に有望、日本も探査計画―米伊チーム

時事通信 2024年7月16日 17時18分

 米国とイタリアの共同研究チームは16日までに、月の「静かの海」にある縦穴につながる巨大な地下空洞があることを米探査機ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)のレーダー観測から確認したと、英科学誌ネイチャー・アストロノミーに発表した。隕石(いんせき)や放射線などから宇宙飛行士を守れる地下空洞は将来の月面基地候補として有望で、日本も探査計画を検討している。

 月の地下空洞は、富士山麓などにある溶岩トンネルと同様に、流れ出た溶岩が月面で先に冷え固まった後、トンネル状の空洞が地下に残されて形成。その後、地表面が崩落するなどして縦穴ができたと考えられている。

 2009年に日本の探査機「かぐや」が発見して以降、200カ所以上の縦穴が確認され、17年には宇宙航空研究開発機構(JAXA)などがかぐやのデータから、静かの海とは別の縦穴で地下空洞を確認している。

 イタリア・トレント大などの研究チームは、LROが静かの海にある直径100メートルの縦穴上空からレーダーで観測したデータを解析。深さ135~175メートルの縦穴の底から西側に地下空洞が広がっていることが分かった。奥行きは25~77メートルで、幅は45メートル程度と見積もられるという。

 JAXAで月の縦穴探査を検討している春山純一助教は「かぐやとは違うやり方で、(空洞の)奥行きを確認できた価値は高い」と評価。1月に世界初のピンポイント着陸に成功したSLIMの技術を生かし、穴の中に直接探査機を降ろしたり、小型ロボットを投入して撮影したりするなどの計画を検討しているという。 

[時事通信社]

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