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岸田首相、物価高対策に傾注=最賃引き上げ、「好循環」へ手応え

時事通信 2024年7月25日 20時6分

 政府は2024年度の最低賃金引き上げ額の「目安」が過去最大の上げ幅となる50円で決着したことについて、物価と賃金の「好循環」につながる一歩だと受け止めている。政権の浮揚を懸け、岸田文雄首相は物価高対策や企業業績の改善に向けた取り組みに力を入れる方針だ。

 首相は25日、首相官邸で記者団に対し、連合が集計した今年の春闘の平均賃上げ率が5.1%だったことに言及しつつ「最低賃金の力強い引き上げを歓迎したい」と述べた。中小・小規模事業者の賃上げにつなげる必要性を訴え、「労務費の(価格)転嫁、生産性向上のための自動化・省力化投資を支援していく」と強調した。

 首相はデフレ脱却へ「物価高を上回る賃上げ」を掲げてきた。通常国会閉幕に合わせた6月下旬の会見では、電気・ガス料金の補助金を8月に再開し、秋に経済対策を策定する意向を表明した。年金世帯、低所得者、地方経済に焦点を絞った物価高対策とする方向だ。

 政府がまとめた25年度予算の概算要求基準案は、物価高対策や賃上げ促進を重点政策に位置付け、要求段階で金額を示さない「事項要求」を認める内容。大胆かつ柔軟に取り組む姿勢をアピールする狙いだ。

 ただ、物価高の勢いは衰えておらず、今月8日に公表された5月の毎月勤労統計調査(速報値)では、物価変動を反映させた実質賃金が26カ月連続で減少した。

 立憲民主党の長妻昭政調会長は25日の会見で、「実質賃金がずっとマイナスになっていることを政府は深刻に考えないといけない」と指摘。共産党の田村智子委員長も「50円の引き上げでは物価高騰に追い付かない」と訴えた。 

[時事通信社]

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