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ワトソン容疑者引き渡し、判断長期化も=日本で「殉教」なら非難激化―支援団体幹部

時事通信 2024年8月10日 14時54分

 【ロンドン時事】デンマーク領グリーンランドで拘束され、日本が身柄引き渡しを求める反捕鯨団体シー・シェパード(SS)創設者ポール・ワトソン容疑者(73)を巡り、SS関連団体を前身とする英国の海洋保護団体「キャプテン・ポール・ワトソン基金」のロバート・リード最高執行責任者(COO)が7日、時事通信の取材に応じた。同容疑者の釈放を目指すリード氏は、引き渡し是非の判断に長期間を要する可能性もあるとの見方を示した。主なやりとりは次の通り。

 ―容疑者の現在の様子は。

 彼は元気だ。グリーンランドにいるSS関連団体スタッフが勾留施設で毎日面会している。

 ―訴えたいことは。

 日本では公正な裁判を受けられない。15年拘禁されるかもしれず、73歳という年齢から、それは終身刑になり得る。環境活動家にとって法外に重い刑罰であり、釈放されるべきだ。

 ―今後の見通しは。

 勾留期限の15日に(勾留延長に関する)審理が地裁で開かれるが、前後する可能性もある。

 最悪のケースは、デンマークが(反対の)声を聞かず引き渡しを決めること。ただ、その場合も(上訴を通じ)高裁と最高裁の2段階の審理を経ることになる。米国への身柄引き渡しで法廷闘争を続けた「ウィキリークス」創設者ジュリアン・アサンジ元被告のように(結論が出るまで)長い時間がかかることもあり得る。

 もう一つは、フランスなど反捕鯨国の反対を受けて決断を遅らせるケース。仏政府は「避難場所」を提供するとデンマーク側に申し出ている。

 ―引き渡しが実現したらどうなるか。

 日本で裁判を受けることになったら、日本にとっても非生産的だ。世界的な注目の中で「捕鯨を裁判にかける」ことにほかならないからだ。彼を「殉教者」にすれば、日本の捕鯨問題を衆目にさらすことになる。

 世界で最も著名な反捕鯨活動家が日本の刑務所で死ぬようなことになれば、激しく非難され、それは「誇り」や「面目を保つ」という(日本にとっての)利点をはるかに上回る。大きな間違いを犯すことになる。 

[時事通信社]

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