溝口善兵衛さん死去、７８歳＝前島根知事、元財務官

　前島根県知事で元財務省財務官の溝口善兵衛（みぞぐち・ぜんべえ）さんが２０日午前１１時２０分、老衰のため死去した。７８歳だった。同県出身。葬儀は親族のみで執り行う。島根県庁が発表した。

　１９６８年東大経卒。同年大蔵省（現財務省）に入り、国際局長を経て２００３年１月、黒田東彦氏（前日銀総裁）の後を継ぎ、財務官に就任した。当時、日本経済はバブル崩壊後の過剰債務問題の最終処理段階にあり、デフレ脱却が大きな課題だったが、金融市場では円高が進行。溝口氏は就任後、１年２カ月で総額３５兆円に及ぶ円売り・ドル買い、ユーロ買いの大規模な為替介入を主導した。同氏は「デフレ脱却に向けて残された政策手段が介入だった」と振り返っていた。

　国際金融情報センター理事長を経て、０７年４月、島根県知事に初当選。県財政を立て直すため職員定数の削減や自身も含めた給与の減額を行うなど健全化に努め、１７年度までに累計２０００億円以上の収支改善を実現した。３期務め、１９年４月に退任した。　