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新首都建設遅れる=完成は大統領宮殿周辺だけ―インドネシア

時事通信 2024年9月1日 22時10分

 【ヌサンタラ(インドネシア)時事】インドネシアのカリマンタン島東部で進められている新首都ヌサンタラ(「群島」の意味)の建設が遅れている。大統領宮殿などはほぼ完成したが、同じ敷地内の政府庁舎や官舎は建設中。当初7月に予定されていたジョコ大統領の執務開始や、公務員らの転入はいまだ実現していない。

 ジョコ氏が2019年に打ち出した新首都構想は、独立100周年を迎える45年に完了する計画。同氏は新首都を自らのレガシー(遺産)と位置付け、8月には現地で独立記念式典を催した。ヌサンタラでの執務開始について、当初の予定には間に合わなかったものの、プラボウォ次期大統領にバトンタッチする今年10月までに実現したいとしている。

 しかし、8月下旬時点で完成したのは、大統領宮殿や大統領事務所のほか、周辺の道路などにとどまる。沿岸部の都市バリクパパンからヌサンタラに続く高速道路は、半分ほどしか出来上がっていない。

 新首都の近くに整備される要人用の新空港も、滑走路が半分ほどできただけ。周りは赤土がむき出しになったままで、管制塔も見当たらない。官舎の建設現場でも、重機がフル稼働中だ。

 政府関係者は、一様に「新空港は9月から利用可能になる」「遅くとも10月には、一部の公務員の転居が始まる」と楽観的見通しを示す。移転に伴う費用466兆ルピア(約4兆4000億円)は、国家予算から捻出されるのは2割程度で、残りは海外からの投資頼み。だが、ジャカルタに拠点を置く日本の金融関係者が「(日本企業絡みの)大きな案件で、具体的な話は聞いたことがない」と話すように、想定したほどには集まっていないのが実情だ。

 7月に初めてヌサンタラで1泊し、執務に臨んだジョコ氏は「(エアコンが不調で)よく眠れなかった」と不満を漏らした。一部のメディア関係者からは「首都機能の一部移転に終わるのでは」と、早くも悲観的な声が上がり始めている。 

[時事通信社]

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