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前書記長の路線、当面維持か=トー・ラム氏就任1カ月―ベトナム

時事通信 2024年9月2日 14時30分

 【ハノイ時事】ベトナム最高指導者の共産党書記長にトー・ラム氏が就任して、3日で1カ月。前任のグエン・フー・チョン氏の死去を受け選出されたラム氏は、初の外遊で中国を訪問し、南シナ海問題で対立を抱えながらも対中関係を重視する姿勢を示した。一方、9月中に訪米するとの観測もあり、米中との間で「バランス外交」を展開したチョン氏の路線を当面維持するという見方が強い。

 8月18~20日の訪中では、北京で習近平国家主席(中国共産党総書記)と会談し、友好関係の継続と経済分野を中心とした協力強化を確認。ラム氏は、南シナ海の領有権問題を念頭に「海洋上の問題については、相違を適切に管理したい」と述べ、対立を先鋭化させないよう努める意向を表明した。

 ベトナムは近年、米国との連携も強化。米越関係は昨年「包括的戦略パートナーシップ」に格上げされ、防衛協力も加速している。ロイター通信によると、ラム氏は9月の国連総会に合わせて訪米し、バイデン米大統領と会談する可能性がある。

 内政面では就任後、党・政府関連の人事が行われ、ラム氏に近いとされるルオン・タム・クアン公安相が党最高指導部の政治局メンバーに加わった。ラム氏は公安省出身で、2016~24年に公安相を務めている。26年の党大会で書記長続投を狙うとの観測があり、公安関係者らを要職に配置し、権力基盤固めを進めているもようだ。

 ベトナム政治が専門の石塚二葉日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所研究員はラム氏について、これまでのところ「前体制から政策的な変化はあまり見られない」と分析。他方、経済成長に向けた企業活動の促進などで、現実主義的とされるラム氏の独自色が発揮される可能性もあると予想した。 

[時事通信社]

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