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ベラルーシで在留邦人拘束=現地で結婚、日本語教師も

時事通信 2024年9月5日 16時2分

 ベラルーシ国営テレビは4日、「日本の情報工作員が拘束された」と伝えた。林芳正官房長官は5日の記者会見で、50代の邦人男性が7月9日、当局に国内法違反で拘束されたと明らかにし、日本の外務省幹部は「報じられた人物と同一で間違いない」と説明した。現地の情報から、南東部ゴメリ州出身の女性と結婚し、日本語教師もしていた中西雅敏さんとみられる。

 ベラルーシはロシアの同盟国で「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領が統治。プーチン政権の影響下にあり、ウクライナ侵攻開始時はロシア軍がゴメリ州を経由するのを認めた。ロシアは制裁を科す日本を「非友好国」と見なしており、今回の「拘束」の背景となったもようだ。

 5日放送の国営テレビのドキュメンタリー番組の映像によると、男性は「ナカニシ・マサトシ」と名乗り、手錠をはめられた状態で証言する姿が映っている。巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国との協力、軍事施設、ウクライナ国境の状況を探っていたと報じられたが、詳細や真偽は不明な点が多い。

 カメラを前にロシア語で「私の活動はベラルーシに危険を及ぼしているかもしれない」と供述しており、スパイ容疑がかけられた可能性が高い。番組は「東京から来たサムライの失敗」という題名で、ベラルーシ当局が撮影したとみられる素材が編集された。

 ゴメリ国立大学の2021年時点の情報によると、中西さんは東京の民間団体で約20年間勤務し、18年にゴメリ州でベラルーシ人女性と結婚式を挙げた。同大で日本語を教え、日本大使館が支援する文化交流行事にも協力していたという。

 ゴメリ州はロシアなど3カ国の国境が交わる地点に位置。州都ゴメリからウクライナの首都キーウ(キエフ)まで直線距離で約200キロしか離れておらず、ウクライナ軍が8月から越境作戦を続けるロシア西部クルスク州は接していないものの比較的近い。 

[時事通信社]

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