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ポジトロニウムをレーザーで急冷=反物質の精密測定に貢献―東大、高エネ研など

時事通信 2024年9月12日 0時8分

 電子1個と陽電子1個が瞬間的に結び付いた粒子「ポジトロニウム」をレーザーで絶対零度近くまで急冷する技術を開発したと、東京大と高エネルギー加速器研究機構、産業技術総合研究所の研究チームが11日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。現在の宇宙を構成する物質とは電荷が異なる「反物質」の質量や、反物質に働く重力の効果などを精密に測定するのに役立つという。

 マイナス電荷の電子と、その反物質でプラス電荷を持つ陽電子は、1000万分の1秒程度の間だけポジトロニウムとして存在できるものの、すぐにガンマ線に変わって消滅してしまう。ポジトロニウムは、陽子(素粒子のクォーク3個で構成)と電子が1個ずつ結び付いた水素原子より単純だが、測定精度を向上させるためには熱による運動を止める必要がある。

 東大大学院工学系研究科の吉岡孝高准教授らの研究チームは、紫外線レーザーの波長を約2億分の1秒ごとに変え、フラッシュのように発する技術を開発。ポジトロニウムの熱運動に対し、逆向きのレーザーを当てて減速させる「レーザー冷却」と呼ばれる方法で、絶対零度(セ氏零下273.15度)より1度高い1ケルビンまで急冷することができた。 

[時事通信社]

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