「皆さまの応援のおかげでございます」。静岡地裁での再審公判で無罪が言い渡されたことを受け、袴田巌さん（８８）の姉ひで子さん（９１）は、集まった支援者に感謝の言葉を述べ、満面の笑みで喜びをあらわにした。
閉廷後、「無罪判決」と書かれた紙と共にひで子さんが姿を現すと、地裁前に集まった２００人を超える支援者から一斉に「おめでとう」という大歓声と大きな拍手が湧き起こった。その後、支援者から花束を受け取ったひで子さんは、「ありがとう」と何度も感謝の言葉を口にした。
弁護団の小川秀世事務局長も、判決で証拠の捏造（ねつぞう）が認められたことに対し「画期的な判決だった」と喜びの声を上げた。その上で、「今回の判決で終わりになると信じている。控訴を絶対させない」と力を込めた。
地裁前には、２０１４年に静岡地裁の裁判長として再審開始や拘置などの執行停止の決定を出した村山浩昭弁護士の姿も。取材に対し、「（再審開始決定から）１０年半がたってやっと無罪になり、ほっとしている。無罪になってほしいと思っていた」と安堵（あんど）の表情を浮かべた。
その後行われた記者会見で、ひで子さんは「うれしくて涙が止まらなかった」と判決を聞いた瞬間を振り返った。その上で、「きょうかあしたのうちに、無罪になったよと（袴田さんに）伝えたい。言わなければいけないことだと思う」と力を込めた。
［時事通信社］