ノーベル文学賞に韓江さん＝韓国の作家、アジア人女性初

　【ロンドン時事】スウェーデン・アカデミーは１０日、今年のノーベル文学賞を韓国の作家、韓江（ハン・ガン）さん（５３）に授与すると発表した。アジア人女性の同賞は初めて。「歴史的なトラウマと向き合い、人間の生命のもろさを暴いた詩的な散文」が評価された。韓国人のノーベル賞は、２０００年に平和賞を受賞した金大中大統領（当時）に続き２人目。

　１９７０年、韓国・光州生まれ。父は小説家の韓勝源さん。９３年に詩作により文壇デビューを果たし、翌年に小説を執筆して脚光を浴びた。その後、苛烈で重厚なテーマを端正な言葉でつづった中・短編作品を多く発表した。

　０５年に「蒙古斑」が韓国の李箱文学賞に選ばれ、８８年に受賞した勝源さんとの親子受賞となった。１６年には「菜食主義者」でブッカー国際賞を受け、世界的に注目された。「すべての、白いものたちの」「回復する人間」「少年が来る」など邦訳作品も多い。