JR東海は29日、岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線「日吉トンネル」掘削工事の現場周辺で地盤沈下が観測されている問題で、5月末以降の低下幅が最大4.9センチに拡大したと明らかにした。観測結果を初めて公表した8月末時点では最大2.4センチだった。
掘削工事では現場周辺で井戸などの水位低下も確認されており、水位低下について議論している岐阜県の専門家会議で説明した。JR東海は水位が低下した現場周辺の計30カ所で地表面の高さを測定しており、うち17カ所で沈下傾向が観測された。
同社は地盤沈下がトンネル工事の影響かどうかを調べるため、過去の衛星データから工事以前の地表面の変化も分析したところ、変化量は最大でも0.8センチにとどまった。担当者は「今回の変化はトンネル湧水による地下水低下の影響だと考えられる」と、工事が地盤沈下を招いた可能性があると説明した。
同社によると、9月中旬時点で約10軒から住居に不具合が生じたと申し出があり、地盤沈下との因果関係を調べている。丹羽俊介社長は29日の定例記者会見で、「不安に丁寧に耳を傾け、分かっていることをしっかりと説明する」と述べた。
[時事通信社]