首里城(那覇市)が火災により焼失して31日で5年となった。2022年11月に始まった正殿の復元工事は今年5月に棟上げが終わり、木造3階建ての建物(土台含め高さ約18メートル)はほぼ完成。26年の完成を目指し、国と沖縄県が連携して瓦ぶきや内部の装飾などを進めている。
14世紀半ばに築かれたとされる首里城は、焼失と再建を繰り返してきた。19年の火災では、1992年の「平成の復元」で再建された正殿など9棟が焼け落ちた。
今回の復元では、前回以降に新たに発見された古写真や史料の分析から得られた知見を反映。正殿2階の玉座部分に設置される木彫りの装飾「御差床(うさすか)龍柱」は、前回とは異なり、龍の胴体部分にねじれを表現した。
また、正殿独特の朱色を表す顔料の産地も判明。沖縄本島北部で採れるバクテリア由来の「久志間切(くしまぎり)弁柄」を桐油や漆と調合して、外装の仕上げに使用する。内閣府沖縄総合事務局によると、琉球王国時代の色に近いとされる落ち着いた赤色になるという。
国が掲げる「見せる復興」の考え方に基づき、ガラスで隔てたスペースから工事の様子を見学できる。6月に現場を視察した玉城デニー知事は、「今しか見ることのできない首里城の姿、復元の歩みを、足を運んでご覧いただきたい」と話した。
[時事通信社]