【カイロ時事】イスラエルのネタニヤフ政権が、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの停戦に向け、本格的な検討に入ったもようだ。地元メディアは30日、ネタニヤフ首相が29日夜に閣僚らと60日間の停戦について協議したと報道。ヒズボラ側も前向きな発言を行っており、米国を交えた交渉が軌道に乗る可能性が出ている。
AFP通信によると、イスラエルのコーヘン・エネルギー相は30日、停戦に関し協議中だと認めた。その上で「過去数週間の軍の作戦のおかげでヒズボラ指導部が壊滅し、イスラエルは強い立場にある」と述べ、停戦準備が整いつつあるとの認識を示した。
ネタニヤフ氏は31日、エルサレムで米国家安全保障会議(NSC)のマクガーク中東・北アフリカ担当調整官と米政府のホックスティーン特使と会談した。停戦条件などを詰めたとみられる。
イスラエル公共放送KANによると、米政府が作成した案には、停戦開始から7日以内にイスラエル軍が地上侵攻したレバノンから撤退することが盛り込まれている。別の地元メディアによれば、イスラエルはレバノン南部のイスラエル国境付近からヒズボラが撤収し、代わりにレバノン国軍が展開することを要求。さらに、イスラエルに脅威が生じた場合に軍事作戦を実施できる保証を求めているという。
レバノンのミカティ暫定首相は30日、地元テレビに対し「停戦に向け全力を尽くしており、数日以内の実現に楽観的であるべきだ」と述べた。ただ、米高官は「いろいろな報道があるが、交渉の現状を反映していない」と語った。
ヒズボラの新指導者に就任したカセム師は30日、「仮にイスラエルが停戦を決断し、われわれにとって適切な条件であれば、受け入れる」と明言。戦闘継続の意向を示しつつも、対イスラエル交渉で妥協を排除しない考えを示唆した。
[時事通信社]