【シドニー時事】太平洋の島国パラオで11月5日、大統領選の投票が行われる。再選を目指すウィップス大統領(56)に、返り咲きを狙うレメンゲサウ前大統領(68)が挑む一騎打ちの構図。2人は義理の兄弟で、2016年の選挙に続く2度目の対決となった。どちらが勝っても台湾との外交関係は維持される見込みだ。
パラオでは大統領の連続3選が禁じられており、レメンゲサウ氏は01~09年と13~21年に2期ずつ、通算16年にわたり大統領を務めた。16年の選挙で義弟のウィップス氏の挑戦を受けたが、この時は僅差で退けた。ウィップス氏は20年選挙で別の新人候補を破り初当選。義兄弟が16年と攻守所を変えて再び激突する今回も、接戦が予想されている。
物価高騰を受け、経済が最大の争点だ。特に23年から導入された消費税を巡り、ウィップス陣営は「財政基盤を強化し、公的サービスを拡充した」と主張するが、レメンゲサウ陣営は「物価上昇を招いた要因であり、国民に負担を強いている」と批判している。
島しょ地域で台湾と外交関係を維持するのはパラオ、ツバル、マーシャル諸島の3カ国。中国は台湾との断交を迫っているとされるが、パラオの歴代政権は応じない姿勢を貫いている。
[時事通信社]