政府は5日、特別国会を11日に召集すると与野党に伝えた。自民、公明両党は首相指名選挙を召集日に行い、国会を4日間で閉じたい考え。しかし、衆院選での与党過半数割れを受け、野党は会期や人事を巡る要求を強めており、この日の協議では召集以外の日程は一切決まらなかった。「自民1強」だった国会運営は様変わりしつつある。
衆院各会派の代表による5日の各派協議会で、林芳正官房長官は11日召集を伝達。与党は同日中に首相指名選挙を実施し、会期を14日までとすることを提案したが、野党は回答を保留し、持ち帰った。折り合ったのは6日に再び協議会を開くことだけだった。
野党は特別国会で十分な会期を確保すべきだとの主張を強めている。立憲民主、日本維新の会、国民民主、共産4党の国対委員長は5日、国会内で会談し、特別国会の議事を首相指名選挙などにとどめず、予算委員会や政治倫理審査会を開くよう求めていくことを確認した。
立民の笠浩史国対委員長は記者団に「石破茂首相が自民総裁選で予算委を約束したにもかかわらず、最短日程で衆院解散に打って出たのは議会軽視も甚だしい」と指摘。「『政治とカネ』の問題を含め、全閣僚としっかりと議論することが必要だ」と語った。
多数を握った野党の攻勢は、衆院に17ある常任委員長ポストの配分にも及ぶ。解散前は自公で15ポストを占めていたが、野党側は少なくとも8ポストを割り当てるよう迫る構え。本会議の議事を取り扱う議院運営委員会と、与野党論戦の中心となる予算委員会の委員長ポスト獲得に意欲をにじませる。
笠氏は「緊張感ある熟議を重ねるため、しっかり要求していきたい」と語った。
議長人事も定まらない。自民は額賀福志郎衆院議長の続投を求める考えだが、立民は比較第1党から選出する慣例を受け入れていない。立民代表として協議会に出席した青柳陽一郎衆院議員は「(各論点について)相当な開きがある。会期が決まらずに召集日を迎えた事例も過去にあると聞く」と記者団に述べ、安易に妥協しないとけん制した。
[時事通信社]