業績回復に向け、トヨタ自動車の視界が晴れない。中国での販売不振に加え、認証不正に伴う国内生産の停滞が響き、2024年9月中間連結営業利益は2年ぶりに減益となった。今期後半での巻き返しを狙うが、中国では当面厳しい状況。米大統領選で輸入車への高関税を掲げるトランプ前大統領が当選を確実にし、北米事業に影を落とす。不正再発防止の取り組みも道半ばだ。
中国では電気自動車(EV)で地元メーカーが台頭し、競争激化により販売台数が落ち込んだ。中間決算では投資収益を含めた利益が1466億円と前年同期比35%減。宮崎洋一副社長は6日の記者会見で、「経済動向次第では価格競争が一段と激化する可能性がある」と危機感を示し、地元ユーザーのニーズに合った車両の開発を急ぐと強調した。
国内でも苦戦を強いられた。生産停止などが響き、営業利益は3.8%減少。北米事業も人件費高騰などを背景に6割超の減益となった。輸入車への関税引き上げを唱えるトランプ氏が米大統領選で当選を確実にし、先行きへの不透明感が強まる。同社幹部は会見で「状況を注視する」と語った。外国為替相場の急激な変動に伴う外貨建て資産の評価損を計上し、純利益は3割近い大幅減となった。
トヨタは認証不正からの体制立て直しを加速するため、今期の人材育成などへの投資を当初想定より1300億円多い8300億円に増やす。現場に余力を持たせつつ、魅力ある車両の供給も進める。不正の再発防止と「稼ぐ力」の強化を両立できるかグループの真価が問われる。
[時事通信社]