政府は8日、月内に取りまとめる総合経済対策に、経済安全保障の観点から重要性が高まる半導体と人工知能(AI)分野への投資を促進するため、2兆円規模の支援策を盛り込む方向で調整に入った。次世代半導体の量産化に向けて北海道に進出したラピダス(東京)などを念頭に、政府が複数年度にわたり大規模な支援を続ける姿勢を明確に示す。
エネルギーの物価高対策では、10月使用分(11月請求分)で終了した電気・ガス料金の負担軽減策を再開する方向だ。再開時期などの詳細は今後詰める。年内までの予定だったガソリン補助金の延長も視野に入れている。政府はこのほか、低所得世帯向けの給付金支給や中小企業支援、能登半島地震の復旧・復興支援などを経済対策に盛り込む方針だ。
半導体を巡っては、日本を含む主要国・地域が自国内での生産を強化している。日本では、政府が過去3年間に総額3.9兆円の支援を行っているが、毎年度の補正予算編成でその都度支援額を決定してきた。今後は政府が中期的な支援計画を策定し、重点事業を定めて戦略的に資金供給する。ラピダスの設備投資やAI基盤モデル開発、AI学習に必要な計算資源の高度化などを支援する予定だ。
政府は中期的に支援を続けるための財源として、政府保有株式を活用した「つなぎ国債」を新たに発行する。政府が保有するNTT株や日本たばこ産業(JT)株などからの配当金を償還財源とする。政府は他の半導体企業の新事業も含めて先行投資支援を行う。資金の主な出し手は段階的に民間の出資や融資に移行することを想定しているが、事業が確立するまで後押しする方向だ。
[時事通信社]