【バクー時事】今回の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は逆風下での幕開けとなる。来年1月に就任するトランプ次期米大統領は、これまでの米国の温暖化対策を撤回すると公言。他の加盟国の結束が急務だが、けん引役を担ってきた欧州諸国は首脳の不参加が目立つ。約2週間の会期中に野心的な合意形成や脱炭素化に向けた機運醸成を図ることができるか、先行きは不透明だ。
トランプ氏は、温室効果ガスの削減目標を定めた「パリ協定」に基づく資金拠出を「ぼったくり」と主張し、1期目と同様、再び協定から離脱する構えだ。米国の姿勢が後退すれば、中国も削減努力を緩めかねない。世界の排出量の4割を占める米中の本気度は、各国の取り組みを左右する。
欧州諸国では、温暖化対策に消極的な右派勢力が台頭。内政がぐらついており、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長やドイツのショルツ首相、フランスのマクロン大統領が参加を見送った。
一方、トランプ氏復権を過度に心配する必要はないとの見方もある。独政府のモーガン気候特使は「(パリ協定離脱中の1期目も)すべての国が前進を続けた。世界的なエネルギー転換の流れは逆転できない」と強調した。
焦点となる途上国支援の資金確保を巡っては、急速な成長を遂げてきた中国やペルシャ湾岸諸国に対し、負担する側に回るよう求める声も強まっている。
気候変動枠組み条約のスティル事務局長は「(各国が)内向きになれば気候変動との闘いは直ちにゲームオーバーだ。(局面を打開する)ゲームチェンジャーの道を選ぼう」と鼓舞している。
[時事通信社]