【ワシントン時事】複数の米メディアは11日、トランプ次期大統領が外交トップの国務長官にマルコ・ルビオ上院議員(53)を指名する見通しだと報じた。共和党重鎮の外交通で、中国やイランに対する強硬姿勢で知られる。欧州や中東での紛争終結に加え、激化する対中競争など、トランプ政権2期目の外交政策のかじ取りを担う。
トランプ氏はまた、陸軍特殊部隊「グリーンベレー」出身のマイク・ウォルツ下院議員(50、共和)に国家安全保障担当の大統領補佐官就任を打診した。外交・安保ラインを保守強硬派で固めてバイデン政権の国際協調路線からの転換を図り、トランプ氏が掲げる自国の利益優先の「米国第一」を再び展開する。
ルビオ氏は南部フロリダ州マイアミ出身。キューバ移民の両親の下に生まれ、2010年に上院議員に初当選した。16年の大統領選では、共和党主流派としてトランプ氏と激しい指名争いを演じた末に敗れた。上院外交委員会や情報委などに所属。トランプ氏の副大統領候補として取り沙汰されたこともある。
ルビオ氏は9月に米紙への寄稿で、中国を「米国が直面した中で最大かつ最先端の敵国」と表現し、経済・技術力の高さに強い警戒感を示していた。一方、ロシアのウクライナ侵攻を巡っては「交渉による解決しかない」と述べ、早期終結に向けて交渉が必要だとするトランプ氏と足並みをそろえている。
ウォルツ氏は、アフガニスタンなどでの軍務を経て、18年に下院議員初当選。軍事即応小委の委員長などを務めた。中国の覇権主義的行動を強く批判し、重要鉱物の対中依存低減や、米国の大学を中国のスパイ活動から守る法案の策定に携わった。
トランプ氏は11日、女性のエリス・ステファニク下院議員(40、共和)を国連大使に指名する意向を発表。ステファニク氏は声明で「力による平和を取り戻す準備はできている」と強調した。
このほか、政策担当の大統領次席補佐官には、トランプ政権1期目で大統領上級顧問を務めたスティーブン・ミラー氏(39)が起用される方向。ミラー氏は不法移民対策の最強硬派で、トランプ氏が約束している「史上最大の移民送還作戦」の実施を担うため、広範な権限を与えられるもようだ。
[時事通信社]