【バンコク時事】ミャンマーの実権を握る国軍トップのミンアウンフライン総司令官が、中国訪問を終えて帰国した。滞在中は李強首相に加え近隣国のタイ、ラオス、カンボジアの首相と会談し、国軍による統治の正統性をアピールした。
「中国との友好関係が強化された」。ミャンマー国営紙は11日、前日に帰国したミンアウンフライン氏の訪中の成果を誇示した。同氏はメコン川流域6カ国の首脳会議などに出席するため、5日から中国を訪問していた。
2021年のクーデター後、ミンアウンフライン氏の訪中は初めて。国軍はミャンマーで中国の影響力が強まることを警戒していたが、昨年10月に本格化した少数民族武装勢力との戦闘で劣勢となる中、少数民族側にも影響力を持つ中国との距離を縮めている。
中国では李強首相やタイのペートンタン首相、ラオスのソンサイ首相、カンボジアのフン・マネット首相と個別に会談し、国軍が来年11月に実施を予定している総選挙などについて協議した。暴力の即時停止といった合意事項の大半を履行せず、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議から排除されているミンアウンフライン氏にとって、国軍による統治への理解を訴える貴重な機会となった。
総選挙は民主派を排除した上で行われ、国軍は親軍派政党を通じて権力を掌握し続ける考え。ただ、抵抗勢力との戦闘が激しい地域での実施は困難とみられ、実現するかは不透明だ。
[時事通信社]