【ロンドン時事】オランダ・ハーグの控訴裁判所は12日、英石油大手シェルに温室効果ガスの大幅な排出削減を命じた2021年の下級審決定を取り消す判決を言い渡した。ロイター通信などが伝えた。バクーで国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が開かれる中、企業の責任を巡る議論に影響を与えそうだ。
オランダの環境保護団体などが19年に提訴。一審のハーグ地方裁判所は21年、「シェルの気候変動対策は十分ではない」として、同社に対し、温室ガス排出量を30年までに19年比で45%削減するよう命じた。シェルが判決を不服として控訴していた。
控訴裁は、地球温暖化による悪影響から人々を守る上で、シェルには気候変動対策に貢献する義務があると指摘。一方、同社は既に温室ガスの排出削減に取り組んでおり、現時点では45%の削減を命じる科学的な根拠はないと結論付けた。
[時事通信社]