13日の東京金融市場は円安、債券安、株安のトリプル安となった。円相場は1ドル=155円台に急落。7月30日以来、約3カ月半ぶりの円安水準となった。トランプ次期米大統領が掲げる大型減税など景気刺激策がインフレを再燃させるとの見方から米長期金利が上昇。日米金利差を意識した円売り・ドル買いの動きが強まった。
トランプ氏が掲げる所得税減税の恒久化など財政拡張的な政策が実行に移されれば、インフレ高進や財政悪化を招くとの警戒感が広がり、米長期金利の上昇が続いている。12日の米国市場では、トランプ氏の大統領選勝利に加え、共和党が上下両院も掌握する「トリプルレッド」となる見通しが強まり、同氏の政策の実現可能性が高まったとして米金利は一段と上昇した。
米景気の堅調さを示す経済指標が相次いでいるほか、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見送られるとの一部観測も、外国為替市場で円売りの動きにつながっている。
今後も円安が進んだ場合、国内で物価上振れリスクが高まり、日銀が早期利上げを検討するとの見方が広がっている。市場では「160円を目指して円安が進めば、日銀が12月会合で利上げに踏み切る可能性が高まる」(銀行系証券)との指摘があった。
午後5時現在の円相場は、155円10~11銭と前日比1円29銭の円安・ドル高。
一方、東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債(第376回債)の流通利回りが約3カ月半ぶりの高水準となる1.045%に上昇し、債券価格は下落した。
株式市場でも、トランプ氏の政策を巡る不透明感から主力銘柄を中心に売りが優勢となり、日経平均株価の終値は前日比654円43銭安の3万8721円66銭と続落した。次期米国務長官に中国に強硬な姿勢で有名なマルコ・ルビオ上院議員の名前が挙がり、米中対立激化が想定されるなど「トランプ氏が米大統領に返り咲くことによる経済へのマイナス面に目が向き始めた」(大手証券)との見方が出ている。
[時事通信社]