沖縄県・与那国島で１０月、陸上自衛隊の輸送機Ｖ２２オスプレイが離陸時にバランスを崩し地面に接触した事故で、陸自は１４日、操縦士が出力を上昇させるスイッチを押し忘れるなどの人為ミスが原因だったとする調査結果を公表した。隊員教育をした上で、飛行を再開する方針。
事故は１０月２７日に発生。日米共同演習に参加したオスプレイが陸自与那国駐屯地を離陸する際に姿勢を乱し、左翼側が地面に触れて損傷した。事故を受け、陸自はオスプレイ全機の飛行を見合わせた。
陸自によると、離着陸時は一時的にエンジンの回転数を上げるスイッチを入れる規定になっていたが、副操縦士が起動ボタンを押し忘れ、機長も確認を怠った。乗員の証言やフライトレコーダーの解析で判明したという。
このため離陸直後、出力不足で機体の高度が突然低下。機長は緊急着陸する際にも、乱れた姿勢をうまく回復させられず、機体が左右に揺れて左翼が地面に接触した。
機体には乗員を含む日米計１６人が乗っており、陸自の調査委員会は、スケジュールの遅れや直前に搭乗者が１人増えたことが心理的負担になり、基本的な手順を忘れたのが原因と結論づけた。手順の徹底や、ボタンに注意喚起の印を付けるなどの再発防止策を取るという。
陸自トップの森下泰臣陸上幕僚長は１４日の定例記者会見で「オスプレイへの不安や懸念がある中で事故を起こしたことを深刻に受け止めている。再発防止策を徹底し飛行の安全に万全を尽くす」と述べた。
［時事通信社］