【リマ時事】バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は16日、ペルーの首都リマで会談した。両首脳は、人工知能(AI)に核兵器使用の判断を委ねず、人が制御することを確認。両国関係を適切に管理するため、「戦略的な意思疎通のチャンネル」の維持が重要だとの認識で一致し、両政府間の対話を継続していくべきだと強調した。
米中両政府が発表した。首脳会談は1時間40分で終了。来年1月に退任するバイデン氏にとって、習氏との会談は今回で最後となった。
習氏は会談冒頭、今月5日の米大統領選に触れた上で「関係安定化を目指す考えは変わらない」と強調。トランプ次期政権とも対話を続け、協力を拡大する方針を表明した。ただ、米中経済の「デカップリング(分断)」は「解決策にならない」と指摘。関税の大幅引き上げなど対中強硬路線を掲げるトランプ氏を念頭に、米国が保護主義に傾くことをけん制した。
バイデン氏は、自身の政権下で米中関係が進展したとして「誇りに思う」と表明。両国間の対話により、競争が紛争に発展するのを防いでいると説明した上で、衝突回避が「世界に対するわれわれの責任だ」として、関係安定化の必要性を強調した。
両首脳は会談で「慎重かつ責任ある方法」で軍事分野におけるAI技術の開発に取り組む必要があるとの認識で一致。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は会談後、両首脳が核兵器使用をAIに委ねないことで一致したのは「AIの安全性や核リスク低減における重要な一歩だ」と説明した。
バイデン氏は、ロシアに派遣された北朝鮮部隊がウクライナとの戦闘に参加したことを非難。紛争激化を防ぐため、中国が北朝鮮に影響力を行使すべきだと主張した。習氏はウクライナでの緊張緩和に努めていると反論したほか、「朝鮮半島で戦乱が起きることは容認しない」と強調した。
習氏は「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾問題に関し、「(越えてはならない)レッドラインだ」と従来の主張を繰り返した。南シナ海問題では、フィリピンなど当事国同士の協議で解決する方針を示し、米国の関与にくぎを刺した。バイデン氏は「台湾周辺での軍事行動の停止」を要求するなど、互いの主張は平行線に終わった。
[時事通信社]