【リオデジャネイロ時事】日米中など20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が18日、ブラジル・リオデジャネイロで開幕する。ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化に加え、米国では、多国間の枠組みを軽視し、自国優先主義を明確にするトランプ前大統領の返り咲きが決まった。国際情勢の不安定化が懸念される中、協調体制の構築を模索する。
日本からは石破茂首相が初参加。バイデン米大統領、中国の習近平国家主席も出席する。19日には、首脳宣言の採択を目指す。
議長国ブラジルは、低所得国のコロナ禍からの回復が遅れる中、貧困対策や国際開発金融機関(MDBs)の機能強化、気候変動問題を優先課題に設定。ウクライナや中東を巡る情勢の他、世界で強まっている保護主義的な動きが、経済に与える影響なども協議する見通しだ。
ただ、G20は立場が異なる先進国や新興国を抱え、対立が続く米中首脳も顔を合わせるという「独特の枠組み」(サリバン米大統領補佐官)。先進国だけで解決できない問題に対応するのが本来の目的だが、ロシアによるウクライナ侵攻以降、世界経済の分断が進む中で、一致点を見いだすのは簡単ではなくなっている。
中国は、強硬姿勢を強めるトランプ氏復権による米中対立激化に備え、新興国の取り込みを狙う。ブラジルは、新興・途上国「グローバルサウス」の代表格としての存在感を示したい考えだ。中東情勢を巡っては、イスラエル寄りの姿勢を続ける米国への反発も少なくない。
来年1月には気候変動対策の撤回や高関税政策を掲げるトランプ政権が発足。協調体制の一段の乱れに警戒が強まる中、G20が、クリーンエネルギー普及促進の継続や、保護主義への対抗姿勢を示せるかも焦点となる。
[時事通信社]