【バクー時事】アゼルバイジャンのバクーで開かれている国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)では、先進国による途上国への温暖化対策資金の拠出が主要議題だ。世界銀行で気候問題を担当するステファン・ハレガテ上級顧問は19日までに時事通信のインタビューに応じ、民間資金は使途が限定されていると指摘し、「より多くの公的資金が必要だ」と訴えた。
ハレガテ氏は、途上国支援では水道・公衆衛生などの公共性が強い分野で民間資金が活用しにくいと説明した。一方で、「適切な政策があれば民間投資を引き寄せられる」と指摘。再生可能エネルギーの普及を図るといった政策支援で民間資金が集めやすくなると話した。
また、途上国ではインフラ整備と温暖化対策が並行して進められ、区別が難しいと強調。「(途上国が)一括して簡単に資金にアクセスできることが重要だ」と語り、投資資金の柔軟な運用が必要との認識を示した。
◇ステファン・ハレガテ氏
経済学博士。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次統合報告書の主要執筆者の1人。2012年から世界銀行の上級顧問として温暖化対策に関する取り組みに従事している。
[時事通信社]