困窮世帯の小中学生の3割近くが学校を「楽しくない」と答えていることが21日、公益財団法人「あすのば」(東京都港区)のアンケートで分かった。担当者は「経済的支援を拡充してほしい」と訴えている。
アンケートは2023年11~12月、生活保護を受けるなどしている1万4845世帯を対象にオンラインなどで行い、保護者4012人、小中学生551人を含む子ども1862人から回答を得た。
小中学生に「学校は楽しいか」と聞いたところ、10.9%が「全然楽しくない」、17.1%が「あまり楽しくない」と答え、「楽しくない」とした割合は3割近くになった。「全然楽しくない」と答えた子のうち88.3%が生活の苦しさを訴え、81.7%は「何もやる気がしない」ことが「よくある」「ときどきある」と回答した。
また高校生・大学生などに対し、学校をやめたくなるほど悩んだ経験の有無を聞くと約半数が「ある」と回答。理由を複数回答で尋ねると、「経済的余裕がないから」が24.3%で最多だった。「希望の就職先や進学先へ行けるか不安」(14.8%)や「勉強についていけない」(13.0%)といった答えも目立った。
自由記述欄には深刻な声も。生活苦のためスマホなどを我慢しているという大阪府の中学1年生は「塾に行けないので学校でしか勉強できず、授業内容も理解できない」と訴えた。岩手県の高校2年生は「コロナ禍と物価高騰で家庭の厳しい経済状態が続く。進学できるか不安」と嘆いた。
あすのば代表理事の小河光治さんは「子どもの貧困対策は最優先課題。学校が楽しくないと感じるだけでなく、授業が理解できないという子もいる」と指摘。「政府には児童扶養手当の増額など困窮世帯への経済的支援の大幅拡充を求めたい」と話している。
[時事通信社]