深刻化が懸念されるプラスチック汚染を規制する条約作りに関し、政府間交渉委員会の副議長とアジア太平洋地域代表理事を務める小野洋氏が時事通信のインタビューに応じた。焦点であるプラの生産規制は、意見の隔たりが大きいとして、各国の譲歩が必要だとの認識を示した。主なやりとりは次の通り。
―条約を作る必要性は。
今後もプラスチックは増えていくことが予想される。急速なスピードで全世界的に対策をしないと、問題は解決できない。できるだけ多くの国が入る条約が出発点となる。
―生産規制に関する各国の意見の隔たりをどう見るか。
非常に大きいと言わざるを得ない。国際的な生産制限のような目標を決めて年限付きでその達成を義務付けると主張する国もあれば、そもそもプラの生産をどうするかは条約の対象ではないという国もある。すべての国がある程度譲歩しないといけない。
―日本は生産から廃棄までのプラのライフサイクル全体での対策を提案している。
ライフサイクルで取り組むことは一番キーとなる部分だ。とにかくやれることを全てやらないとプラ汚染を終わらせられない。捉え方に差はあるものの、廃棄物管理だけでなく、(リサイクルしやすいといった)製品設計なども非常に重要だという点はすべての国が一致している。
―日本の果たすべき役割は。
日本の提案は、異なる意見を橋渡しするような役割を果たし得る。条約を実施する段階では、(海洋プラ汚染に関する)データや日本企業の知見、経験、技術の提供が大いに期待されているのではないか。
[時事通信社]