中小企業に適用されている法人税率軽減の特例措置について、政府が2025年度税制改正で、同措置の対象となる企業の要件厳格化を検討していることが26日、分かった。今年度末に期限を迎える特例措置そのものは延長する一方、所得が高い企業を適用から外す案が浮上している。政府は適用される中小企業の所得額上限などについて、与党の税制調査会などと調整する。
法人税の税率は23.2%であるのに対し、中小企業には19%の軽減税率が適用される。さらに年間所得800万円以下の部分については、特例措置として15%まで引き下げられている。直近3年間の所得額の平均が15億円を超える中小企業などは対象外だ。
中小企業庁などは物価高や人件費の高騰、金利の上昇など足元の経済状況を踏まえ、25年度改正に向け2年間の特例延長を要望した。ただ特例措置導入時と比べ中小企業の所得環境や財務状況は改善している。また中小企業向けの優遇税制は拡充されており、特例措置が賃上げや投資、研究開発を促す効果は乏しいとの指摘がある。
所得800万円以上の企業は一律に32万円が減税される一方、赤字企業には減税効果が及ばないという問題もある。
政府税制調査会によると、22年度に特例措置が適用された件数は全体で約106万件に上る。そのうち所得10億円超の企業が2008件(減税額合計約6.4億円)、1億円から10億円以下が4万1991件(同約134億円)だった。
[時事通信社]