【イスタンブール時事】イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの停戦が27日、発効した。時事通信の電話取材に応じたヒズボラの支持者が「抵抗の勝利だ」と歓迎する一方、レバノン市民からは「双方が(合意に)違反する」と不信感も漏れた。
レバノン国営通信によれば、南部各地へ通じる幹線道路は27日早朝から、避難先を離れて家に向かう多くの車で渋滞。イスラエル軍の空爆で甚大な被害を受けた南部サイダからナバティエにつながる道では、市民がレバノン国旗やヒズボラの旗などを掲げ、停戦を祝った。
ヒズボラの拠点がある首都ベイルート南郊ダヒエ地区では、自動車店に勤めるアリ・ダヒさん(30)が「ヒズボラの抵抗に感謝する。国家の威厳のため犠牲を払った」とたたえた。イスラエル軍の攻撃で自宅は損壊したものの、「敵は軍事的目標を達成できなかった。停戦に合意したのはヒズボラによる打撃を逃れるためだ」と高揚感を隠さなかった。
ただ、悲観的な見方も根強い。サイダに住むサミ・アブドラさん(42)は「良い合意とは思わない。ヒズボラが順守するとは思えず、絶対に双方が違反する」と話す。「レバノンでは『イスラエルに勝ったか負けたか』を巡っても意見の分断が大きい。ヒズボラはレバノンを利益にならない戦争に巻き込んだ。犠牲者は国民だ」と憤った。
[時事通信社]