神奈川県鎌倉市で昨年8月、JR東海道線を走行中の電車が傾いた電柱に衝突した事故で、運輸安全委員会は28日、架線を支えていた電柱の根元がひび割れ、入り込んだ雨水で内部の鉄筋が腐食したとする調査報告書を公表した。事故前の検査で、JR東日本がひび割れを発見できなかった可能性があると指摘し、入念な検査を行うよう求めた。
報告書によると、傾いた電柱は設計値に対し比較的大きな力で常に引っ張られており、風や地震の影響もあってひび割れが発生したとみられる。内部の鉄筋10本のうち、3本は著しく腐食して破断し、1本も亀裂が発生していた。
傾いた電柱は1980年に設置され、鉄筋のさびの状況などから、ひび割れはかなり前から生じていたとみられるが、JR東は事故約1年2カ月前の検査で「異常なし」と判断していた。事故を受け、JR東は検査方法を見直すなどした。
[時事通信社]