京都府教育委員会は29日、弥生時代から中世の集落跡が確認されている女布遺跡(舞鶴市)で、鎌倉時代の木棺墓1基が出土したと発表した。底面から約5センチの部分がほぼ完全な状態で残り、これほど保存状態が良い例は全国でも珍しいという。棺の中から中国・宋時代の青磁のおわん1点も見つかり、府教委は「日本海での交易に通じた有力者が埋葬された可能性がある」としている。
府教委によると、出土した木棺墓の底板は長辺が160センチ、短辺が60センチ。棺の中から見つかったおわんは、宋時代に中国・浙江省にあった龍泉窯で作られ、口縁部が欠け、ひびが入っていた。
龍泉窯製の青磁のおわんは平安京や太宰府など政治的に重要な拠点で出土が多いといい、府教委は女布遺跡周辺にも貴重なおわんを入手できる有力者がいたことが明らかになったとしている。
[時事通信社]