【ロンドン時事】英下院で29日、終末期患者が自死する権利を認める法案の是非を巡る投票が行われ、賛成が多数を占めた。2015年に同様の法案が否決されたが、近年欧州で「命の選択権」を巡る議論が進む中、英国内でも容認派が増加。今後は下院の委員会やさらなる投票と議決、上院での審査過程を経る必要があり、成立には長時間かかる見込みだ。
法案はイングランドとウェールズの余命6カ月以内と診断された成人が、処方された致死薬を自ら服用し命を絶つことを認める内容。実行には医療専門家2人と裁判官の同意を必要としている。
英メディアによると、29日の投票結果は賛成330、反対275だった。
投票に党議拘束はかからない。生命の尊厳に関わる微妙な問題だけに、下院で約6割の議席を占める与党労働党内でも意見が割れ、宗教や医療関係者らを巻き込み活発な議論が繰り広げられている。
英国では現在、自殺ほう助は認められていないが、先週公表された世論調査で「合法化を原則支持する」と述べた人は7割以上。反対はわずか13%だった。がんの末期症状に苦しむ著名人が支持を表明したり、他の欧州諸国で合法化が進んだりしたことなどを受けて容認論が広がったとみられる。
[時事通信社]