日本維新の会の前原誠司共同代表(62)は3日、就任後初の国会論戦に臨んだ。与野党が維新新体制の出方を注視する中、石破政権との対決姿勢を前面に出した。長い政治経験を買われて国会議員を束ねるポジションに就いたが、維新の党歴はわずか。「外様」に対する冷めた目もあり、若手中心の執行部を統率できるか手腕が問われる。
「この期に及んでどうして分からないのか」。前原氏は3日の衆院代表質問で、自民党が政策活動費を廃止するとしながらも党支出の一部を非公開にしようとしている点を問題視。石破茂首相にこう迫った。
鉄道という共通の趣味もあり、首相と親交がある前原氏だが、代表質問では企業・団体献金禁止に慎重なことへの批判を展開。「自民党の中にも心ある議員はいる。首相もそうだったはずだ」と畳み掛けた。
石破政権に厳しいトーンは馬場伸幸前代表と同じ。政策面でも、教育無償化や憲法改正など維新が重視してきた政策を取り上げた。
前原氏は衆院当選11回。維新の衆院議員で群を抜く。民主党政権では外相などを歴任した。
ただ、衆院選を控えた10月上旬に維新に合流したばかりで、足場がない中での共同代表就任。「キャリアを考えると他にいなかった」(維新関係者)事情もあり、安全運転に努めた形だ。
課題は党内の掌握。前原氏以外の新執行部は衆院当選2回の若手ばかりで、旧執行部の一人は「まとめられるのか」と懐疑的だ。前原氏自身、「維新のことはまだよく分からない」と漏らす。
他党からも冷ややかな声が上がる。自民幹部は前原氏が民進党代表だった2017年に党を分裂させた過去を捉え、「壊し屋だ」と手腕を疑問視する。前原氏は2日の記者会見で、昨年たもとを分かった国民民主党との向き合い方を問われて「きのうの敵はきょうの友」と述べたが、同党幹部は「どの口が言うのか」と切り捨てた。
[時事通信社]